「イノベーション」の意味とは?和訳は「技術革新」ではない?「発明」とはどう違うのか解説

「イノベーション」という言葉を耳にする機会も多くなりましたね。今やCMの中でしばしば流れるほどに浸透が進んでいるフレーズです。

しかし、正確な意味や定義まできっちり説明するのは簡単ではないかもしれません。

イノベーションについて、意味や語源などを確認しながら解説します。

この記事の内容

イノベーションとは何か?意味をわかりやすく解説

そもそも、イノベーションとは何でしょうか。

意味や語源をチェックするところからスタートしましょう。

イノベーションの語源

日本語表現上におけるイノベーションは英単語“innovation”に由来し、「革新」や「変革」という意味があります。

しかし実のところ“innovation”も元々の語源ではありません。語源はラテン語に遡り、「リニューアルされたもの」になります。

この言葉自体には技術やテクノロジーを示す意味はないという点も押さえておきましょう。

技術革新じゃない!?和訳には賛否両論

イノベーションに対し「技術革新」という和訳を当てはめる例もありますが、これについては賛否が分かれています。

単なる技術の進歩だけでなく、既存の技術やテクノロジーを流用しつつも全く新しいアイデアやビジネスモデルを発案することで変化を起こすというアプローチ法が急増しているからです。

シュンペーター氏が定義するイノベーションとは?

イノベーションを語る上で欠かせないのが、オーストリアの経済学者ヨーゼフ・シュンペーター氏の存在です。

シュンペーター氏は1912年に著書『経済発展の理論』において、イノベーションを「経済活動の中で生産手段や資源、労働力などをそれまでとは異なる仕方で新結合すること」と定義しました。

この定義は100年以上経った今でも色褪せることなく、むしろ再注目を集めている重要な考え方といえます。

一般的なイノベーションの使い方と事例をチェック

続いて、イノベーションが一般的にはどのように使われているかをチェックしましょう。

現代語は語源や定義の通りに使われているとも限りません。

新しい物事の創造・社会に革新をもたらす

一般的にイノベーションは語源や定義と比べてもう少し簡潔な内容で理解されており、主に「新しい物事の創造」や「社会に革新をもたらす」といったものとして解釈されています。

イノベーションを用いた例文

ここで、イノベーションを用いた例文を3つご紹介します。

例文

歴史を振り返れば、産業革命はイノベーションの典型例だ。

例文

大手企業は既存のビジネスモデルを維持し、洗練させていく方向性で存続する場合が多い。むしろベンチャー企業や中小企業の方がイノベーションを起こす可能性を秘めているかもしれない。

例文

シュンペーターが定義したイノベーションは、発明や発見と同義ということではない。発明や発見によってイノベーションを起こすことは可能だが、今までにない発想や組み合わせで既存の技術や資源を利用することによってもイノベーションは誕生しうるのである。

インターネットやスマホの登場はイノベーションのよき事例!?

イノベーションの例を挙げるとすれば、インターネットとスマホは間違いなくその代表格といえるでしょう。

インターネットの登場によって物流や販売の仕組みは劇的に変化し、店頭販売以外の選択肢が誕生しました。

さらに電話や手紙でやり取りされていた既存の通信手段は、その大半をインターネットが代替しています。

またスマホはインターネットを加速度的に普及させました。無線通信によってパソコンがなくても手軽に大容量データを送受信できるようになり、オフィスに出勤せずとも仕事をこなせるようにさえなったのです。

SNSもスマホがなければここまで普及しなかったでしょう。

これらのイノベーションによるインパクトは絶大で、既存の業種や業態は急激な変化を迫られました。

人と差がつくイノベーションを用いたコトバとは?

ここで応用編として、イノベーションを用いた派生語をご紹介します。

一般的に馴染みが薄い言葉もあるはずで、人と差がつくのは間違いありません。

ライフイノベーションの意味

「ライフイノベーション」とは人生における革新や変革を指します。

何をもって革新と位置づけるかは一概に定義することが難しく個人の所感に左右される要素が大きいともいえます。

簡単にまとめると「これまでの人生を一変させるような目覚ましい進歩や劇的な変化」を指すものと理解すればよいでしょう。

タイムイノベーションの意味

「タイムイノベーション」は経済用語ではなく、2018年に企業法人タイムイノベーション社が提唱した新しい概念です。

タイムイノベーションの内容は時間に価値を付けることによって経済活動に組み込むというものです。

具体的には日々の生活における有限な時間を「クロノポイント」と名付けた独自のポイントに換算し、時間の価値を可視化するという手法のことです。

状況や環境に応じてクロノポイントの価値が変動するのが特徴です。

ITイノベーションの意味

「ITイノベーション」とは、ITのテクノロジーを活用したイノベーションのことです。

近年の例でいえばクラウドコンピューティングが代表的で、特にクラウドの仕組みを活用したクラウドファンディングは既に資金調達の一手法として確立されています。

リーディングイノベーションの意味

「リーディングイノベーション」はイノベーションを牽引する・先導するといった意味合いです。

日本で有名企業が慣用的に使っていたキャッチコピーであり、特に経済用語として定着しているわけではありません。

オープンイノベーションの意味

「オープンイノベーション」とは企業や組織内で創出されたイノベーションを内部で完結させるのではありません。

必要に応じて外部の組織と共有しながら展開・発展を図るイノベーションモデルのことです。

技術やアイデアを外部と共有し、より社会的に高次元のイノベーションを起こすという狙いがあります。

イノベーションマネジメントの意味

「イノベーションマネジメント」を文字通り読もうとすると「イノベーションを管理する」という風に考えがちですが、これは適切ではありません。

イノベーションマネジメントとは、イノベーションを起こすためのアイデアの創出やビジネスモデルの構築、そして事業化へのプロセスに関する意思決定や判断を最適化するという極めて高度なマネジメント手法です。

イノベーションを評価する際、既存のビジネスモデルや成功例を基準に判断するのがベストとは限りません。

このためイノベーションマネジメントを実行・運用すること自体が容易ではないと考えられていて、このマネジメント手法はさほど普及していません。

破壊的・持続的イノベーションの意味

「破壊的イノベーション」と「持続的イノベーション」の両語は、クレイトン・クリステンセン氏が著書『イノベーションのジレンマ』の中で紹介した概念です。

持続的イノベーションとは、現在市場で求められている価値を向上させる性質を持つイノベーションを指します。

一方破壊的イノベーションとは現在市場で求められている価値を低下させ、別の価値を向上もしくは誕生させる性質を持つイノベーションのことです。

市場における既存のルールや価値観を根本的に覆すというアプローチは破壊的な一面を持つものの、むしろそうしてこそ新しい価値観を創造することができると提唱したのです。

イノベーション指数の意味

「イノベーション指数」とは、イノベーションを起こす土壌や可能性を示す指標のことです。

国際的なイノベーション指数といえばアメリカのブルームバーグ通信社が毎年発表している国ごとのイノベーション指数を指すのが一般的です。

一方、日本国内で有力企業に対してイノベーションの度合いを評価するものとしては一橋大学と日経新聞が共同で定めたイノベーション指数が広く知られています。

後者のイノベーション指数は米中の有名IT企業や日本の大手企業など国内外のリーディングカンパニーと呼ばれる約320社を評価したもので、指数の構成要素は組織力・価値創出力・潜在力に関する18の個別項目です。

イノベーションとリノベーションの違いとは?

イノベーションと似た響きのある言葉として「リノベーション」があります。しかしこれは全く別の単語であり、類語でもありません。

リノベーションは住宅用語に分類され、主に大規模な改築や修繕を指します。

住宅用語の中でリノベーションに近い類語としては「リフォーム」がありますが、リフォームが主に原状回復や模様替えを意味するのに対して、リノベーションは建物全体の価値を高めるような大がかりな改良や修繕を施すことを指します。

イノベーションの類語をチェック

改めてイノベーションの類語をチェックしてみましょう。

日本語でイノベーションの類語を当てはめると「革新・改革・新機軸」の3語が近いでしょう。

既存のものを大きく塗り替える、もしくは新しい軸となって流れを生み出すというニュアンスが含まれます。

なお「刷新」は単純な更新も含まれるので表現としてやや弱く、「革命」だと政治体制の変化なども含まれるので表現が強すぎると考えられます。

イノベーションを起こすことは人類の進化に必要不可欠!

イノベーションとは資本主義の最たるものであるように思われがちですが、歴史を振り返ればイノベーションに該当する現象・事象はいくつも起こっています。

シュンペーター氏はイノベーションの概念を多くの人にもわかりやすいようまとめあげ、世に広めたにすぎません。

資本主義時代以前さらにいえば人類誕生より、イノベーションを起こすことは人類の進化に必要不可欠な原動力なのだといえるでしょう。

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