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「インキュベーション」ってどんな意味?「ベンチャーキャピタル」との違いは?

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ニュースなどで起業や雇用創出が話題にのぼると、併せて「インキュベーション」という言葉が聞かれるようになってきました。

起業や雇用創出は読んで字の如しですが、そこでいきなり横文字が現れてもピンとこない人は少なくないはずです。

果たしてインキュベーションとはどのようなものでしょうか。この記事ではインキュベーションの意味や語源だけでなく、類語なども併せて解説します。

インキュベーションって日本語ではどんな意味?

まずはインキュベーションの意味や語源に迫りましょう。

横文字には語源や由来がつきものです。

経済用語として使われるインキュベーション

インキュベーションは経済用語であり、「起業や新事業の創出を支援し成長を促進させること」を指します。

具体的には資金援助だけでなくオフィスのような施設や環境を提供したり貸し出したり、あるいは事業に関するアドバイスやコンサルティングを行うといった包括的な支援事業が当てはまります。

英語の「incubation」が語源

インキュベーションの語源は英語の“incubation”です。

意味は「卵の孵化」というもので、元々この言葉自体には経済用語としての意味合いはありませんでした。

しかし1950年代にアメリカにおいて“business incubation”という概念が誕生し、上述のように起業や新規事業を支援するという意味が付加されました。

これが後の日本語における経済用語としてのインキュベーションに転じたとされています。

インキュベーションの正しい使い方

インキュベーションの意味がわかったところで、実際にはどのように使われるのかをチェックしましょう。

インキュベーションの正しい使い方として、例文を2つご紹介します。

例文

起業するにあたり自治体のインキュベーション機構に相談したところ、インキュベーション活動を行っている担当者やインキュベーション施設に関する情報を提供してもらった。詳細な起業プランを準備して再度訪問し、審査を申請する予定だ。

例文

日本におけるインキュベーションの導入は1998年施行の新事業創出促進法に端を発する。当時はインキュベーションの概念そのものよりも、新事業の掘り起こしや支援を行う「ビジネス・インキュベーター」という組織や機構の誕生に注目が集まった。

インキュベーションのつく言葉をまとめてみた!

応用編としてインキュベーションのつく派生語を5つご紹介します。

インキュベーションルーム

「インキュベーションルーム」は、インキュベーションの期間中に利用を許可される部屋のことです。

入居には審査が課される場合がほとんどで、法人化を目指す個人や新しい事業展開を予定している中小企業であることといった所定の条件をクリアする必要があります。

インキュベーションマネージャー

「インキュベーションマネージャー」とはインキュベーションの期間中、対象者を人的・物理的にサポートする世話役のことです。

アメリカで最初の“business incubation”が誕生した際には閉鎖した工場のオーナーが敷地内の建物を区分けして貸し出すとともに、入居してきた小規模の商店に対して資金調達の援助や経営のアドバイスを行ったといわれています。

このオーナーの立ち回りこそ、インキュベーションマネージャーの原型といえます。

インキュベーションプログラム

「インキュベーションプログラム」とは、インキュベーションの対象者に提供する支援プログラムのことです。

インキュベーションマネージャーは幅広く臨機応変な対応を要求されます。

対して、インキュベーションプログラムの場合は既に1つの「プログラム」として確立されたコースや方法論に基づき支援を行うというところが相違点として挙げられます。

インキュベーションモデル

「インキュベーションモデル」とはインキュベーションの実例です。

業界や分野ごとにインキュベーションの詳細なプロセスは異なるため、それぞれの分野におけるインキュベーションの要領を実例に基づいてモデル化したものと考えればわかりやすいでしょう。

なお、インキュベーションプログラムはいくつものインキュベーションモデルに基づく知見を体系化し、方法論の形に落とし込んだものといえます。

インキュベーション機能

「インキュベーション機能」とは、起業の支援や創業して間もない会社の事業が軌道に乗るようバックアップする機能のことです。

当然、インキュベーションの機能やキャパシティを持った組織や機関の存在が前提となります。

意味がちょっと変わってくるインキュベーションの類語

派生語に続いて、インキュベーションに比較的近い類語をご紹介します。

ただし、それぞれインキュベーションとは意味合いが少し異なるので違いも把握しましょう。

加速する人という意味のアクセラレーター

「アクセラレーター」とは文字通り「加速する人」という意味で、日本語でいえば推進者・推進役のようなニュアンスに近い言葉です。

ただしもう少し詳細な定義があり、既に事業を開始している企業や個人に対して、数週間から数ヶ月の短期間で対象ビジネスを急速に成長させる支援プログラムを提供する組織や機関を指します。

資金やノウハウに関する支援を行うという点ではインキュベーターと共通していますが、支援の対象やアプローチの仕方が異なります。

レンタルオフィスも意外な類語

「レンタルオフィス」はいわゆる「間借り」のことです。

先述のインキュベーションルームに比較的近い概念の言葉ですが、大きな違いとしてレンタルオフィスにはインキュベーションの是非や有無を取り沙汰する考え方はありません。

ただしレンタルオフィスの場合も、入居もしくは利用の際に審査や所定の条件をクリアする必要があるという点は同じです。

インキュベーションとインキュベーターの違いとは?

「インキュベーター」とはインキュベーションを実施する事業者のことです。

インキュベーションは「起業や新事業の創出を支援し成長を促進させること」という概念であるのに対し、インキュベーターはインキュベーションの概念を世間に向けて実施・実践する組織や機関であると考えればよいでしょう。

インキュベーションをベンチャーキャピタルとは呼べない理由

注意すべき点として、インキュベーションは「ベンチャーキャピタル」とは異なります。

ベンチャーキャピタルはあくまで複数の未上場企業に対して急激な投資を行い、企業成長の成果としてのリターンを受け取ることを目的としています。

その過程で投資案件が失敗したり廃業したりしても、対象企業を救済する責務は負わないのが一般的です。

また投資が成功した場合であっても利益を追求して当該企業を他のファンドに転売するケースもあり、企業の自立性は重視しません。

以上の理由から、インキュベーションとベンチャーキャピタルとでは投資や支援の方向性・コンセプトが全く異なるという点を押さえておきましょう。

まとめ


インキュベーションは日本に導入されてからわずかに20年程度と、歴史の浅い概念です。

しかしインキュベーションによって優れた起業家やアイデアが世に送り出されたことは間違いありません。

また、インキュベーションといっても様々な支援の形があります。必要なものは資金か、ノウハウか、それともオフィスやスペースなのか。

独立や起業を検討する際にはインキュベーションに関する知識の有無によって大きく展開が変わってくるかもしれません。

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