「マンパワー」の意味や用法とは?ヒューマンリソースとの違いを把握しよう!

労働力を意味するカタカナ語として、マンパワーが挙げられます。

言葉の響きだけでいえば、いかにも力で押し切るようなイメージがありますよね。ビジネスシーンにおけるマンパワーとは、一体どのような意味なのでしょうか。

分野ごとの用例なども踏まえて、マンパワーの本質に迫っていきましょう。

この記事の内容

「人力」は恥ずかしい!?ビジネスにおけるマンパワーの意味とは?

マンパワーを直訳すれば、「人力」といっても間違いではありません。

ただしビジネスシーンにおいて、人力という表現はスマートではありませんよね。パワーといっても、物理的な力ばかりを指すわけではないのです。

ビジネスにおけるマンパワーの意味を考えていきましょう。

マンパワーの意味は「労働力」「人的資源」

マンパワーとは、労働力・人的資源のことです。労働力はともかく、人的資源を「人力」とみなすのは無理がありますよね。資源と力をイコールで結ぶ人はいないでしょう。

またマンパワーを「人間力」と訳すと、人間性や性格といった意味合いが多分に含まれることになります。

マンパワーに対し、「人力」や「人間力」という訳は相応しくありません。やはり「労働力」もしくは「人的資源」の方が適切ですね。

マンパワーの由来や語源は?英語「manpower」の意味

マンパワーは由来・語源とも、英語にルーツがあります。マンパワーのルーツは英単語“manpower”であり、人の力・エネルギーを表します。

スペルに“man”が含まれますが、男性という意味ではなく人間というニュアンスです。

例えば、人類を表す“mankind”においても“man”が付いていますよね。理屈としては“manpower”と同じというわけです。

マンパワーを日本語「人手」と同じ意味で使っていい?

マンパワーを人手と同義とみなしてよいものでしょうか。

結論からいえば、同じ意味で使ってもOKです。マンパワーは労働力と訳されますよね。労働力とは働き手、すなわち人手のことです。

特に最近では、小売店を中心に人手不足という言葉がよく聞かれます。同じ状況をマンパワー不足と表現している経営者も沢山いるのです。

マンパワーは人材派遣会社の名前に使われている

「マンパワー」という名称の人材派遣会社もあります。人材を派遣し、派遣先に労働力を提供する。「名は体を表す」の言葉通り、シンプルで明快な社名ですよね。

マンパワー社の日本法人が設立されたのは1966年で、アメリカで広まっていた人材派遣サービス業を持ち込んだ最初の企業とされています。

ちなみに人材派遣に関する国内初の法律は、1986年施行の「派遣労働法」です。

その後も現在に至るまで繰り返し法改正が行われ、派遣労働者は自分に適した仕事や職種を選択しやすくなりました。

また、従来のように終身雇用を前提として就職する道以外の選択肢が広がったのも大きな変化。すなわち正社員の身分にこだわらなくとも、自らの経験や能力をベースにキャリアを構築できる可能性が生まれました。

複数の企業を渡り歩いた結果、派遣労働者が求める仕事内容と企業が求める経験者のニーズが合致し、正社員と同等以上の待遇で働いている人材も少なくありません。

マンパワーの使い方をフレーズの意味と例文でチェック

文章形式でマンパワーを使う場面を想定しましょう。

フレーズの形だと、どんな表現になるのでしょうか。

マンパワーを投入する

マンパワーを投入するとは、人員を割り当てて労働力を強化する様のこと。

人手を増やすと言い換えてもよいでしょう。

例文

人気アニメの影響でA地方が聖地化され、全国からお客さんが集まるようになった。現地の店舗売上が急上昇中で、人手不足の状態だ。A地方の店舗全体にマンパワーを投入する必要がある。

マンパワーが足りない(マンパワー不足)

人員不足や人手が足りないなどの様を、マンパワーが足りないといいます。

マンパワー不足、と一言で表現する場合もしばしばです。

例文

マンパワー不足を少数精鋭で解消するのが当店の強みだ。1人当たり2人分以上の労働力を自負している。

マンパワーを確保する

マンパワーを確保するとは、労働力を確保するという意味です。

単純に人員や頭数をキープするという場合もありますが、労働力として有用な人材を確保するという用法も考えられます。

例文

年末商戦に備え他支店に応援を要請したところ、3名のマンパワーを確保することに成功した。

マンパワーに頼る

マンパワーに頼るとは「質より量に頼る」というニュアンスの、ネガティブな表現です。

コミュニケーション力やチームワークといった組織としてのまとまりではなく、頭数の多さでどうにかするという意味合いが含まれます。

代表例が人海戦術。細かいことは無視し、数の力で押し切るという意味ですね。

例文

競合のB社はマンパワーに頼るスタイルだ。人材をじっくり育てるのではなく、資金力にものをいわせて即戦力の人員をかき集めながら突き進むのである。

マンパワーを増やす

マンパワーを増やすとは、労働力・人員を増強するという意味です。

「マンパワーを投入する」と概ね同じニュアンスですね。

例文

マンパワーを増やしたおかげで、作業効率が上がり生産量の増加につながった。

マンパワーが必要

マンパワーが必要とは、人材不足で満足に稼働していない様をいいます。

例文

期末にベテラン2名が退職し、大幅な戦力ダウンとなった。穴埋めとして、少なくとも2名分のマンパワーが必要だ。

マンパワーの結集

マンパワーの結集とは、労働力を総動員するという意味です。総力戦ともいわれます。

例文

年末商戦では対予算120%の売上を達成した。マンパワーの結集による成果だ。

ビジネスだけじゃない!マンパワーの医療・看護・介護分野での意味

マンパワーが使われるのはビジネスシーンに限りません。

介護福祉の分野における用例を見てみましょう。

福祉マンパワー

福祉マンパワーとは、社会福祉援助活動に携わる人的資源を指します。

医療や看護、保育などの専門職に限らず、民生委員やボランティア活動員といった非専門的マンパワーも含むのが特徴です。

介護マンパワー

介護マンパワーとは、介護の必要な人に対して相談や指導を実施したり、食事・排泄・入浴等の介護サービスを行ったりする人的資源のことです。

要介護者に対して相談や指導を行うには、専門的な知識と技術が要求されます。

介護マンパワーも福祉マンパワーの一種とみなす場合がありますが、2000年に公的介護保険制度がスタートし、社会の高齢化が進む過程で介護マンパワーを分けて扱う例も多く見られます。

マンパワーの類語「human resource」意味や使い方の違いを解説

マンパワーの類語として押さえておくべきなのが、英語のフレーズ“human resource”です。

“human resource”とは人的資源という意味で、主としてIT業界や金融業界などといった知識集約型産業に携わる労働力を指します。

なおマンパワーにも人材・人的資源という意味はありますが、一般的には労働力・人手というニュアンスの方が強いですよね。

マンパワーは主として建設業界や介護業界、飲食業界などの労働集約型産業における労働力を指します。簡単にいえば、直接的な人手に依存する仕事に適用されるというわけです。

以上を踏まえて比較すると、“human resource”が知識集約型産業に当てはまる言葉であるのに対し、マンパワーは労働集約型産業に当てはまる言葉といえるでしょう。

まとめ

類語“human resource”を紹介しましたが、実際のところは人的資源のニュアンスを含めてマンパワーという表現が主でしょう。

カタカナ語で「ヒューマンリソース」というと字数も多く、普段使いには若干不向きかもしれません。

一方マンパワーは発音しやすい上、日本語と英語とで齟齬も少なく、明快で使いやすいといえます。

ただし「マンパワーに頼る」というように、言い方ひとつでネガティブな印象を与える場合もあります。正しい用法を理解し、場面に相応しい運用を心がけましょう。

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