「モアベター」の意味とは?英語圏では通じない?正しい表現や用法を解説

より良いものを望んだり、要求したりする際に使われるフレーズに「モアベター」という表現があります。

「モアベター」の意味とは?英語圏では通じない?正しい表現や用法を解説

「モア」も「ベター」も、中学生以上の英語知識があれば誰でも知っている簡単な単語ですよね。

2つの単語を組み合わせてできたフレーズがモアベターです。モアベターが和製英語であることはご存知の方も多いでしょう。

本来、モアベターとは英語表現として正しくないのですが、明快さと使い勝手の良さゆえに使われる機会は意外と多いのです。

モアベターがどのように使われているのかを理解し、必要に応じて対応できるようにしていきましょう。

この記事の内容

モアベター(more better)ってどういう意味?ホントは文法的に間違い!?

モアベター(more better)ってどういう意味?ホントは文法的に間違い!?

モアベターとは英語の“more”と“better”に由来するフレーズです。英語教育を受けた過程で、おそらく全ての方が比較級について学習済みでしょう。

“more”と“better”、どちらも比較級で性質が重複していることにお気づきですよね。

モアベターとはあくまで和製英語である点を念頭に置きつつ、詳細を解説していきます。

一定世代以上には必ず通じる和製英語で「より良い」

一定世代以上には必ず通じる和製英語で「より良い」

モアベターとは主に1980年代、昭和後期に定着した言い回しで「より良い」という意味を表します。

モアベターはTVやラジオの番組内で著名人が使い出したのがきっかけとなり、シンプルな英語ということもあって一般的にも一気に浸透しました。

モアベターを広めた著名人については後述しますが、その人物が亡くなった2005年以降になると、TV・ラジオともにモアベターのフレーズを聞く機会がほとんどなくなりました。

一方で当時の放送から影響を受けた年代層は、「より良いもの」や「より良いこと」に対して、今でもモアベターと表現する習慣が残っているというわけですね。

比較級で比較級を強調しているので文法的にNG

比較級で比較級を強調しているので文法的にNG

先述した通り、英語表現上“more”と“better”を同時に使うことはありません。

英文法的に、モアベターという言葉はNGに当たります。というのも、“more”と“better”はそれぞれ比較級の性質を持っており、機能が重複してしまうからです。ちなみに、より良いという意味であれば“better”だけで通じます。

日本語で例えるなら「強く強調する」といった具合に、不必要な重複表現をしていると考えればわかりやすいでしょう。本来は「強調する」だけで十分通じますよね。

「much better」を「more」で更に強調して誕生した

「much better」を「more」で更に強調して誕生した

英語で“better”を強調する表現方法は存在します。代表的な表現の事例は“much better”でしょう。“much”とは「たくさん」「すこぶる」といった意味ですよね。

“better”と組み合わせると、「ずっと良い」「だいぶ良い」といったニュアンスになります。

実は日本に限らず、世界には英文法を無視した言い回しは少なからず存在することがわかっています。

“much better”にしても“much more better”のように、本来正しくない組み合わせの表現がなされる事例があるのです。

同様に、日本において「より良い」という意味をキャッチーに表現するには、“much better”(マッチベター)というよりも“more better”(モアベター)という表現が好まれたものと推測されます。

英語圏では意味が通じないので使用注意

英語圏では意味が通じないので使用注意

モアベターは和製英語です。英語圏において、日本と同じ感覚で“more better”と発言しても通じません。

相手によっては「より良いと言いたいのかな」と、意図を汲んでくれる場合もあるかもしれません。

それでも相手に気を遣わせたり面倒をかけたりすることになるので、“more better”という誤った英語表現は避けるべきです。ちなみに、“more good”という表現もNGなので注意しましょう。

ビジネスや日常でみられるモアべターの使い方と例文

ビジネスや日常でみられるモアべターの使い方と例文

モアベターはビジネス、日常ともに比較的使いやすい表現です。

モアベターを使った文章形式の例を見てみましょう。

「プランAとプランB、どちらがいいかな?」
「プランBがモアベターだね」

プランの内容によっては、飛行機でなく新幹線を使う方がモアベターな場合もしばしばだ。

日本語の「より好む・より好ましい」というニュアンスは、英語の“prefer”(プリファー)が一番近いと考えられる。ところが日本では、カタカナ語としてのプリファーは定着していない。現状のところ、「より好む・より好ましい」という意味のカタカナ語にはモアベターを当てはめる方が親しみやすいだろう。

モアベター(more better)を正しく表記するには?近いフレーズをチェック

モアベター(more better)を正しく表記するには?近いフレーズをチェック

英語表現として、“more better”が適切でないことはお伝えした通りです。我々日本人としては、いかにも日本語らしい「より良い」というニュアンスを何とかして表現したいところですよね。

「より良い」という意味を表現するに当たって、“more better”に代わるフレーズを紹介します。

「far better」の意味

“far better”とは、「ずっと良い・はるかに良い」という意味です。

過去の状態と比較して、飛躍的に向上した様を指す表現ですね。

「even better」の意味

“even better”は、「さらに良い・いっそう良い」といった意味合いを表します。

“even”は様々な意味を持つ副詞ですが、物事を比較する場合のニュアンスとして相応しいのが「さらに・いっそう」という強調の表現でしょう。

モアベター(more better)が使われるようになった由来とは?映画評論家のギャグ!?

モアベター(more better)が使われるようになった由来とは?映画評論家のギャグ!?

モアベターが一般に浸透したのは、映画評論家で人気タレントでもあった故・小森和子氏によるところが大きいでしょう。

昭和時代、通称「小森のおばちゃま」として人気を博した小森氏はTVやラジオの番組に多数出演し、収録の終わりには「来週はモアベターよ」と発言して締めくくるのがお約束でした。

モアベターとは元々「来週はもっと面白い放送をするわよ!」という、小森氏特有のアジテーションであり決り文句だったのです。

ちなみに現在も活躍している芸人・タレントの片岡鶴太郎氏が、小森氏のモノマネやパロディーを繰り返し披露したことも一役買っています。

鶴太郎氏によるモノマネのレパートリーに、モアベターも含まれていたことは言うまでもありません。

まとめ

モアベターを好んで使うのは、一定以上の年代層が主であるとおわかりいただけたでしょう。

会話の中でモアベターが使われたとして、いちいち「和製英語だ」とか、「本来は英語として正しくない」といった指摘をするわけにもいきませんよね。特に相手が上司や年長者、取引先ならばなおさらです。

そもそも年代が違う者同士が話をすれば、大なり小なりのズレが生じても不思議ではありません。見方を変えれば、若者と全く同じ言葉遣いをする年配層は決して多くないはずです。

会話の中でモアベターが使われたとしても、流れを止めるのは避けるべきです。

話をスムーズに進めるためにも、モアベターに対応できるようにしておく方が望ましいでしょう。

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