「ロールモデル」の意味とは?ビジネスシーンでの効果的な使い方をじっくり解説

ロールモデルの「ロール」が役割という意味であることをご存知でしょうか。昔に比べると、ゲーム用語のRPGが「ロールプレイングゲーム」の略であることはだいぶ認知されつつありますよね。

「ロールモデル」の意味とは?ビジネスシーンでの効果的な使い方をじっくり解説

RPGとはゲーム内のキャラクターに成り代わり、作品内で役割を演じることを楽しむジャンルです。

RPGの例はロールモデルにも応用できます。会社やサークルなどにも優れた上司や先輩社員がいるのではないでしょうか。

他の模範や手本となる人物こそ、ロールモデルなのです。当記事では、ビジネスシーンにおけるロールモデルを中心に解説していきます。

この記事の内容

ロールモデルの意味とは?英語が語源なの?!

まずはロールモデルの語源を辿ってみましょう。

現在の意味用法と同じであるか、確認する必要がありますよね。

簡単に言うと「お手本となる人物」の意味

ロールモデルを簡単にまとめると、「お手本となる人物」のことです。

お手本となる人物とは「模範的な人物」と言い換えてもよく、技術や行動、動作などにおいて模倣・学習すべき対象の人が当てはまります。

ロールモデルの英語「role」+「model」の意味

ロールモデルの語源は英語の“role”と“model”を組み合わせた、“role model”というフレーズです。

先に、“model”について触れましょう。“model”は半ば日本語化しているので、もはや説明不要ですね。例えば事業モデルやモデル都市といった言葉があるように、手本・模範などの意味合いです。

私達日本人に馴染みが薄いのは“role”の方で、役割・役目という意味を持ちます。

“role”だけではピンとこない場合は、“play a role”もしくは“role playing”という具合に表現を活用させてみましょう。“role”と“play”を組み合わせることで、「役割を演じる」という表現になることがわかるはずです。

“role”のニュアンスを把握できれば、“role model”を理解したも同然。“role model”とは手本とすべき役回りの人物、もしくは模範的な立ち回りをする人物という意味であることがわかりますね。

ロールモデルの役割とは?身近な人の方が効果あり?!

ロールモデルの役割とは?身近な人の方が効果あり

自分の気持ち一つで、様々な対象がロールモデルになり得ます。ロールモデルの対象は偉人であったり、故人であったりしても構いません。

一方で、身近な人をロールモデルに設定する方がよいという意見もあります。

基本的な概念を理解できたところで、今度はロールモデルをどのように設定すべきかについても考えてみましょう。

ロールモデルの影響を受けながら成長

ビジネスシーンにおいて多くの場合、マニュアルに従って行動していれば通常業務やルーチンワークは問題なく過ごせるでしょう。

イレギュラーやアクシデントが発生した場合は少々厄介で、判断力や対応力、責任感といった個人の地力が問われます。

ピンチの時にロールモデルがどのように対処し、立ち回っているかを近くで見届けるためにも、やはりロールモデルは身近な人であるのが望ましいといえるでしょう。

ロールモデルが近くにいれば大小の仕事についてはもちろん、日々の立ち居振る舞いのレベルまで吸収することができます。

ロールモデルならではの行動特性やリーダーシップを見極め、コピーすればよいのです。身近なロールモデルは成長に欠かせない存在であり、いわば研究の対象といってもよいでしょう。

モチベーションアップにつなげる

優れたロールモデルは周囲の成長意欲を刺激し、向上心を高めます。新規加入した組織のスタッフに、ロールモデルがいるといないとでは大違いでしょう。

ロールモデルとは簡単に追いつけない存在であるこそ模倣する価値があり、結果として成長のモチベーションにつなげられるのです。

ロールモデルの活用手順

ロールモデルが身近にいるというだけでも多くを学ぶことができますが、せっかくならば効率的にエッセンスを吸収したいのですよね。

それに、ロールモデルの人物が永続的に同じポジションや職場に留まるとは限りません。異動や転属になる可能性などもあるでしょう。

ロールモデルを活用するためにはちょっとコツがあります。コツを手順化し、3つのステップにまとめてみました。

STEP
ロールモデルの選定

ロールモデルはやみくもに設定するものではなく、学習する対象として相応しい人物を探す必要があります。

管理職や組織のリーダーには優秀な人物が多いものですが、ロールモデルの対象は責任者層である必要はありません。 上司や組織を支える立場の人であったり、あるいは一構成員として高いパフォーマンスを発揮している人物でもよいでしょう。

できるだけ身近にいて、行動を観察しやすい相手が望ましいですね。

STEP
ロールモデルの分析

ロールモデルを選定したら、当該ロールモデルが優れている理由や特徴を分析します。

ロールモデルに設定したということは、相手に優れた要素があることを直感的に理解したはずです。

次にすべきは、ロールモデルの優れた要素を分析し、エッセンスを掴み取ること。ロールモデルのエッセンスとは「行動特性」と言い換えてもよいでしょう。

動きなり思考方法なり、どこかに必ず非凡な要素があるはずです。

STEP
ロールモデルの模倣

最終ステップはロールモデルの動きや思考様式を模倣することです。模倣といっても表面をコピーするだけでは無意味で、ロールモデルの行動特性を分析した上でのエッセンスを自分の行動に反映させましょう。

人にはそれぞれ自分の持ち味、個性というものもあります。 ロールモデルを模倣したエッセンスと、自分の個性をミックスさせ、成長につなげていくことが肝心なのです。

企業が従業員に自社のロールモデルを設定することもあり

企業が従業員に自社のロールモデルを設定することもあり

前節までは主に特定のスタッフが、同じ部署など身近にいる優れた上司や先輩をロールモデルに設定するケースを紹介してきましたが、反対の例もあります。

企業が従業員に対して、自社のロールモデルを設定する場合もあるのです。キャリアパスやプロジェクト成功例など、優れた実績を持った人物を自社のロールモデルと位置づけるわけですね。

企業が自社のロールモデルを設定する意義を考えてみましょう。

企業がロールモデルを設定するメリット

企業が自社のロールモデルを設定するということは、何らかの効果や重要性があるとみなしているからですよね。企業原理として、不要なことは極力避けるものです。

企業が積極的にロールモデルを設定すれば、若手社員や就活生が目指すべき社員像を提示することになります。

企業の最前線で活躍している人物の業務内容や働きぶりは、会社の魅力そのものといってもよいでしょう。

企業がロールモデルの従業員を選出することは、内外に対して自社の看板社員を指し示す行為でもあるというわけですね。

企業が提示するロールモデルとはどんな人?

企業が提示するロールモデルとは、当該企業の理念や指針を体現し、行動で示せる人物です。例えば社長や会長といえば会社の代表ですから、企業の理念や指針を実践できて当然です。

一方、一般従業員の場合はどうでしょうか。経営陣レベルの達人たちと比べると、どうしても不利ですよね。

会社に対する帰属意識やモチベーションなども、人によってまちまちでしょう。だからこそロールモデルが必要なのです。

一般従業員の中にロールモデルがいるということは、経営陣と同様に高い意識を持った人物が現場にいるということでもあります。

従ってロールモデルには、経営陣が担当レベルで行うことのできない細かな立ち回りを、自分たちの代わりにこなすことが期待されているともいえます。

ロールモデルの設定と育成は経営戦略の一つであり、また優れた中堅社員を抜擢することは幹部に引き上げるべき人材を見極めるきっかけでもあるのです。

企業におけるロールモデルとは、決して単なる看板や宣伝役ではないこともおわかりいただけたでしょう。

女性のロールモデル設定は企業の課題

各国のジェンダー不平等を分析した2018年度版の「世界ジェンダー・ギャップ報告書(Global Gender Gap Report)」によると、日本は対象149ヶ国中110位という結果でした。先進国の中でも最下位です。

残念ながら企業によっては、女性が営業職に就き渉外活動を行うことは望ましくない、といったような昔ながらの風習が今でも残っています。能力やスキルといった価値基準が二の次にされているのです。

近年、国や企業が役員や管理職のポストに女性を抜擢する動きが活発になってきたのも、「ジェンダー後進国」という不名誉な評価を払拭するためという理由が大きいでしょう。

少子高齢化が進んでいる昨今、女性の社会進出と労働力確保は喫緊の課題です。企業が女性のロールモデルを設定する意義はかつてないほどに高まっています。

すなわち女性であることが何らハンデにならず、能力や適性、あるいは貢献の度合いによって責任あるポジションに就ける可能性を示していかねばなりません。

女性社員のロールモデル設定といっても、自社内で完結可能な戦略です。株主を説得したり、取引先を巻き込んだりするような大事ではありません。

古い観念を捨て、既成の慣習を打破する心持ち一つでクリアできる課題です。所要コストといっても、十分見通しを立てられる範囲でしょう。

ロールモデルを積極的に打ち出し、優秀な女性の人材を育成していく行程は今や企業の社会的責任になりつつあるのです。

ロールモデルがいない人へ!例となる人物や有名人を紹介

ロールモデルがいない人へ!例となる人物や有名人を紹介

ロールモデルは身近にいるのが望ましいと述べましたが、身近にいることが絶対条件というわけではありません。

自分一人で担当する仕事に携わる場合や、ロールモデルに相応しい人物が周囲にいないという場合もあるはずです。

「自分にはロールモデルがいない」と嘆く方もいらっしゃるでしょう。実のところ面識のない相手、あるいは故人などであっても、仮想的なロールモデルに設定することは可能なのです。

実際、ロールモデルとして偉人や著名人を挙げる政治家や経営者は枚挙に暇がありません。例として、ロールモデルに取り上げられることの多い有名人を紹介します。

イチロー

2018年に現役を引退した、元プロ野球・メジャーリーガーのイチロー氏。プロ選手として通算4367安打という驚異的な記録をはじめ、合わせて7つのギネス記録を持つという超人ぶりです。

華々しいスター選手である一方、トレーニングや道具メンテナンスといった地道な行程をストイックに突き詰めて完成させた職人的なスタイルが持ち味でした。

イチロー氏はアスリートとしてのロールモデルであるだけでなく、生真面目な日本人の気質が世界に通用することを証明した偉人でもあります。

稲盛和夫

京セラグループの創業者、稲盛和夫氏は経営者のロールモデルとして著名です。2010年には会社更生法適用となった日本航空社(JAL)の代表となり、経営の立て直しを請け負いました。

アメーバ経営に代表される稲盛氏の改革は凄まじいスピードで実を結び、JALは奇跡的なV字回復を達成。2012年9月には見事再上場を果たしたのです。

経営者ならば「おかしなところはな、向こうから数字が目に飛び込んでくるんや」という言葉を耳にしたことがあるでしょう。

役員の一人から受けた質問に対する答えとして稲盛氏が発言した内容であり、稲盛氏の数値分析における並外れた洞察力を示す事例として広く知られるエピソードでもあります。

田中角栄

鼓・田中角栄氏は昭和時代の日本を代表する大物政治家。高等教育を受けていないにもかからわらず首相にまで上り詰め、日中国交正常化、日本列島改造論など数々の功績を残しました。

田中氏を評した「コンピューター付ブルドーザー」という異名はあまりにも有名ですね。

近年では生前の田中氏を描いた著書が人気を博し、その強烈な個性と類稀な実績が再評価されています。政治家としてのロールモデルであるだけでなく、若者たちの生き方にも影響を与えているのです。

ロールモデルの類語まとめ

ロールモデルには類語がいくつかあります。

代表的なものを3つ紹介しましょう。

日本語の言い換え

ロールモデルを日本語で言い換えると、「模範」や「手本」が当てはまります。

真似をすることを「模す」と表現する通り、「模範」とは真似するべき対象という意味です。「手本」もほぼ同じで、見本や見習うべきものというニュアンスを表します。

モデルケース

モデルケースとは「参考にするべき事例・事象」という意味で、いわゆる典型例を指します。

ロールモデルが人を対象とするのに対し、モデルケースの場合は成功例や事例などのように、主として人以外を対象とするのが特徴です。

ロールモデルとメンターの違い

ロールモデルとよく比較されるのがメンターです。メンターとは、企業において新入社員などのように補助が必要な者に対してサポートを行う役割です。

主に技術面よりも精神面をサポートするのが特徴で、相手の悩みや不安を和らげ、成長を促す作用があります。

近年では「メンター制度」などの呼び方で、会社の正式な制度としてメンターを活用する事例が多く見られるようになりました。

ちなみにロールモデルと、当該ロールモデルを手本にしている人物とは直接の関わりがない場合もありますよね。

一方メンターの場合は相手と直接的な関係性があり、対面で会話するのが一般的です。関わり方という点においても、ロールモデルとメンターは異なるといえるでしょう。

梅田望夫の著書「ウェブ時代をゆく」のロールモデル思考法

梅田望夫の著書「ウェブ時代をゆく」のロールモデル思考法

2007年11月に発表された梅田望夫氏の著書「ウェブ時代をゆく」ではロールモデルに対して、既存の価値観とは一線を画すユニークな見解を発表しました。

従来型のロールモデルといえば、特定の誰か一人を当てはめるのが当然でした。ところが梅田氏によればロールモデルとは誰か一人に限定する必要はなく、実在する人物である必要性さえもないというのです。

梅田氏はむしろ対象を限定せずに「誰かの生活の、一部の過ごし方」というレベルで、様々な相手から色々な要素を吸収すべきだと喝破します。

2007年当時から時間が経ったとはいえ、現在もインターネットが主要なツールとなった「ウェブ時代」であることに変わりはありません。

私達はWebを通じて、あらゆる対象から情報を得られる環境にいます。すなわちWebを有効に活用すれば、世界中のあらゆるロールモデルから学ぶことができるのです。

梅田氏のいうとおり、特定のロールモデルにこだわらず、沢山のロールモデルを持つべきなのかもしれません。もっといえば、キャリアプランさえも一つのモデルにこだわる必要はないのです。

今や終身雇用を前提として働く時代でもありませんし、職種や会社さえも拘る必要はありません。高い目標のためなら転職してもよいでしょう。

どのようにキャリアプランを練り、キャリア形成をしていくかは自分で選択すべきなのです。

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