「ロジックツリー」の使い方をマスターしよう!ピラミッドストラクチャーとの違いも解説!

会社の業務を効率化したり、店舗の売上やスタッフのサービスを向上させたり、あるいは対外的なマーケティング戦略を練ったりと様々な用途で有効なのが、フレームワークや思考法です。

フレームワークや思考法といっても一通りではありません。ロジカルシンキング、クリティカルシンキング、ピラミッドストラクチャーなどいくつかの手法が思い浮かぶでしょう。

中でもロジカルシンキングの代表格が「ロジックツリー」です。

当記事ではロジックツリーの特徴や、運用に伴うメリットなどを詳しく解説します。ロジックツリー作成に関するツール・アプリも紹介します。

この記事の内容

ロジックツリーとは?意味をわかりやすく解説

初めてロジックツリーと聞いた方でも、言葉の響きからなんとなく内容のイメージが湧きますよね。

論理と木を連想すれば、おおよそのニュアンスをつかめるのではないでしょうか。

ロジックツリーの要点とは、正に「論理と樹木の関係」です。

論理と樹木がどのように関係するのかを、具体的に見ていきましょう。

ロジカルに原因や解決法を探す問題解決ツールのこと

ロジックツリーを簡単に要すれば、原因や解決策を探すための問題解決ツールです。

もう少し詳しく説明すると、問題の原因究明や解決策を導くため筋道立てて論理的に思考し、思考に関する情報やプロセスを樹木の形で網羅していくのがロジックツリーの特徴といえます。

論理思考だけなら、ロジカルシンキングで事足りますよね。

一方ロジックツリーの場合はロジカルシンキングをアレンジし、思考の内容を可視化して前後関係や因果関係をわかりやすくするのがポイントなのです。

ロジックツリーを用いて問題を解決するメリットとは?

ロジックツリーを利用するポイントは、思考の内容を可視化することだと述べました。思考の内容を可視化すると、どんなメリットが得られるのでしょうか。

ロジックツリーによって思考の内容を可視化すると、論理展開の前後関係や因果関係が明確になり、結果として疑問点・問題点を発見しやすくなります。

言い換えれば理解や納得のいく部分と、理解できなかったり未解決だったりする部分を判別しやすくなるということです。

問題点を可視化するだけなら、図表を使えば可能なはずですよね。ロジックツリーならではのユニークな特徴は、思考のプロセスを可視化し、前後関係や因果関係を明確にして問題点を絞り込みやすくするということ。

さらにいえば、問題に対する解決策や改善策を見つけやすくできるということです。

スムーズに思考するには、文章や図表など何らかのツールを使う方が効率的。数ある思考ツールの中でも、ロジックツリーを取り上げることには多くのメリットがあるといえるでしょう。

ロジックツリーの上手な作り方とは?効果的な5つのポイント

ロジックツリーは樹木の形をした図。大元となる幹があり、幹には枝葉が派生していきます。

ロジックツリーの作り方にも良し悪しがあり、むやみに樹木の形にすればよいというわけではありません。

ロジックツリーを上手に構造化するには、大別して5つのポイントがあります。

できるだけ視野を広げ全体の定義を明らかにする

ロジックツリーを作る上で最も大事なのが全体の定義、すなわち樹木の幹に位置づける内容の決定です。

具体的にはテーマや論題・論点の設定に相当します。

ロジカルシンキングを行うに当たって、まずは全体としてどのような問題に注目し、論考していくかを決定する必要があるということですね。

ロジックツリーを作るには、目に飛び込んでくる素材全てに対してやみくもに手をつけるのではなく、まずは視野を広く持って全体像を把握する必要があります。

取り扱う事象において、全体に共通する重要な問題、もしくは論じるべき大きなテーマがあるはずです。

「全体の定義を明らかにする」とは、取り扱う事象の範囲を把握し、その上で取り組むべきテーマを決定するということといえるでしょう。

クリティカルシンキングや仮説思考を身に付ける

ロジックツリーを作るに当たっては、クリティカルシンキングや仮説思考を行うのも有効です。

クリティカルシンキングとは批判的な思考・考察のこと。批判的といっても単に批判するということではなく、物事に対して疑問の余地を探り、真理を追求していくアプローチを指します。

仮説思考とは仮定や仮説を設定した上で考察を進める思考プロセスのことで、1つの事象や物事に対して様々な可能性を検討するのが特徴です。

クリティカルシンキングや仮説思考は行き詰まった問題に取り組んだり、常識やセオリーを打破する目標に挑戦したりする際に有効な手法といえるでしょう。

演繹法・帰納法を用いて包含関係や因果関係を意識する

ロジカルシンキングの中でも、我々日本人にとって特に馴染み深い手法が演繹法と帰納法でしょう。

演繹法とは定理や真理といった一般論を元に、個別の事象を解析する手法。個別事象の内容が一般論と合致するならば、当該事象について導かれる結論も一般論と同じになるという考え方ですね。

一方帰納法とは、関連する個々の事象から共通の要素を読み取り、一般論を導き出す手法。

数学の分野では数学的帰納法が有名ですよね。数学的帰納法の考え方を元として、分析対象が数値情報でなくなったものを帰納法と考えてもよいでしょう。

演繹法の場合は包含関係、帰納法の場合は因果関係に注目するのがポイントです。演繹法、帰納法ともに、ロジックツリーを作る上で大いに役立つでしょう。

ミーシ―(MECE)的に物事を考える習慣をつける

近年、企業やビジネスマンを中心に浸透している概念がミーシー(MECE:Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)です。

ミーシーの趣旨は漏れ・重複・無駄を排除し、最短で最適な情報を網羅すること。何らかのアクションを起こす前に、必要最低限の情報やデータをきっちり準備しましょうということです。

大事なのが「必要最低限」というポイントで、過不足があっても、重複があってもNG。物事を極限までコンパクトにまとめつつも、一方で必要な情報は全て網羅する必要があります。

ミーシーはデータを分析したり、検証を行ったりする際に大変有効な手法です。ミーシーの思考法は分析や検証以外にも有用であり、ロジックツリーの作成にも大いに役立つでしょう。

具体的な行動に落とし込めるまで階層を増やす

先述の通りロジックツリーを作る上で最も肝心なものは定義であり、樹木の「幹」です。一方、定義や方向性を決定しただけでは戦略や計画は完成しません。

ロジックツリーという樹木を完成させるには、やはり幹に枝や葉を付けていく必要があります。

「戦略なくして戦術なし」の言葉にもある通り、戦略を立てたなら、戦略のベクトルを戦術のレベルまでブレイクダウンさせねばなりません。

戦術とは個々のプレイヤーが行うアクションに相当し、ロジックツリーでいえば「葉」の部分に当たるというわけです。

言葉の上で枝葉の部分と聞くと、あたかも重要でないもののような印象を受けがちですよね。実際のところ、ロジックツリーにおいて具体的なアクションに直結するのは葉の部分なのです。

付け加えると、ロジックツリーの枝葉を作り込んでいく際には階層ごとの抽象度を揃える必要があります。

幹に近いほど抽象度が高く、葉に近いほど抽象度が低くなるように足並みを揃えねばなりません。言い換えれば葉に近いほど具体的な内容になる、すなわち具体的なアクションになるということですね。

ロジックツリーの全体図を描いたら、必ず枝葉の部分まで作り込みましょう。戦略や計画を具体的な行動に落とし込めるまでは、ロジックツリーの枝と葉を分化させ、階層を増やしていく必要があります。

実際に看護を例題にして問題解決のロジックツリーを作成してみよう!

ロジックツリーを作る際には、予めアプローチの仕方を決めるというのも有効です。

英語のWhat・Why・Howという3つの疑問形からスタートする手法と、KPIという重要目的達成を軸にスタートする手法を紹介します。

また上記のアプローチ法を踏まえ、実際に問題解決のロジックツリーを作ってみましょう。題材として「看護師の現場におけるヒューマンエラーを減らす」というテーマを取り上げます。

Whatツリー(要素分解ツリー)問題の発生源を特定する

Whatツリーは別名を要素分解ツリーといい、問題の発生源を特定することに主軸を置くのが特徴です。

後述するWhyツリーと混同しがちですが、Whatツリーの場合は原因そのものを追求するのでなく、発生源をピンポイントで突き止めることが目的。

問題発生の理由や原因の特定作業は二の次です。看護現場でのヒューマンエラーを当てはめれば、どんな問題が起こったのか、何があったのかを特定するということです。

もしもすぐに核心まで到達できない場合は、樹木の幹を先に作るのでなく、枝葉の部分からロジックツリー作りにアプローチしてもよいでしょう。

特にヒューマンエラーから事故につながってしまった場合は、まずは何が起こったかを把握することが先決。問題を特定できない限り、原因の追求も不可能だからです。

Whatツリーを活用する意義としては、問題の特定に役立つということが挙げられるでしょう。

Whyツリー(原因追求ツリー)問題の原因を追及する

Whyツリーはロジックツリーの一種で、原因追求ツリーとも呼ばれます。WhyがWhatツリーと異なる点としては、問題が発生した原因を徹底的に解明しようというアプローチをとることが挙げられるでしょう。

特に問題の全貌が明らかになっているものの、原因が不明である場合に役立つ方法論といえます。

看護の現場におけるヒューマンエラーを当てはめるとするなら、例えば患者さんが廊下で転倒してしまったという事故の原因を考えてみましょう。

肝心なのは、「なぜ転倒が発生したか」という原因ですよね。正にWhyロジックツリーをスタートさせるべきタイミングというわけです。「転倒の原因を特定する」というテーマは、樹木の幹に当たりますね。

次に考えるべきは枝の部分。例えば患者さん側に、足や腕の不自由はなかったかどうか。

原因は患者さん側でなく、病院など建物施設にあるかもしれません。手すりの有無、廊下の清掃状況なども疑うべきでしょう。

全く別の可能性として、虫やボールなどの飛来物があり、反射的に身をひねったのかもしれません。転倒の原因につながり得る、あらゆる可能性・要因を探る必要があります。

もちろん患者さんに大事がなく、会話できる状態ならヒアリングによる原因調査が可能でしょう。

一方、不幸にして大きな事故につながった場合などは、やはり自分達で原因を追求していかねばなりません。

Whyツリーはヒューマンエラーの当事者が現場におらず、残された人たちで対応しなければならない場合に大変役立つアプローチといえるでしょう。

Howツリー(イシューツリー)問題の解決を図る

Howツリー、別称イシューツリーとは問題解決を図るロジックツリー。発生した問題の内容が明らかになっており、原因も判明している際には非常に有効な手立てとなるものです。

Howツリーは最も作戦・戦略・戦術の流れに適した方法論といえます。

問題解決という目的は作戦に相当し、ロジックツリーの幹といえます。解決に向けて採用する大まかな戦略は、ロジックツリーの枝。戦略に基づいて実際に行われるアクションは戦術であり、ロジックツリーの葉というわけです。

以上を踏まえ、看護の現場におけるヒューマンエラーにHowツリーを当てはめてみましょう。

いま一度患者さんの転倒を例にとると、問題解決のゴールは、もちろん当該患者さんの安全確保ですね。Howツリーの幹は、安全確保と位置づけられます。

続いて安全確保のために行う方法論は、転倒による影響の度合いによって分かれるため複数想定する必要があるでしょう。

即時の応急処置が必要な場合、診察を経て治療を行う場合、診察だけで済む場合など様々です。Howツリーの枝は、患者さんに対するケアの方針が該当します。

患者さんに対するケアの具体的な内容は、Howツリーにおける葉の部分です。ケアの方針ごとに異なる施術が行われるため、やはり複数の葉を用意することになるでしょう。

Howツリーは“How”という通り、アクションに関する方法論を突き詰めていくアプローチですよね。必然的に、他のロジックツリーと比べて具体的で現実的な内容になるのです。

KPIツリーチームによる実効性の高い問題解決アクション

KPIツリーのKPIは“Key Performance Indicator”の頭文字をとったもので、日本語でいえば「重要経営指標」もしくは「重要業績指標」のこと。

KPIツリーとはツリーの頂点にビジネス上の達成地点(ゴール)を設定し、ゴールに到達するための重要な要素をKPIと定めて構成するロジックツリーです。

KPIツリーを利用する際には、「何をもって重要とみなすか」を定義し、選定するプロセスが肝心。ゴールに辿り着くために有効な要素をピックアップし、特に重要と考えられる要素を指標化する必要があるということです。

KPIツリーを活用して看護におけるヒューマンエラーをなくすという問題解決を図る場合を考えてみましょう。

例えば「カルテ作成におけるヒューマンエラーをなくす」という課題をゴールと設定します。続いてカルテ作成におけるヒューマンエラー解消に向けての重要な要素として、次のものをピックアップするとしましょう。

  • 誤記入の排除
  • ヒアリング内容の確認
  • ダブルチェックの徹底
  • 過去事例の学習

それぞれのステップを指標化し、達成率の推移をチェックし続けることでゴールに近づいていくというわけです。

KPIツリーを活用する際の大事なポイントとして、チームで取り組めばより高い実効性を発揮するということが挙げられます。

「ダブルチェックの徹底」などは典型例で、特に経験の浅いスタッフを先輩がサポートするという行為はシンプルで効果の高いアプローチといえるでしょう。

ただ単に「チームワークが大事」というだけでは抽象的で、具体的な行動をイメージしにくいもの。一方チーム全体でKPIツリーの課題に取り組めば、行うべきアクションの内容が明確化されますよね。

加えて、チームメンバーの得手不得手を相互補完しながらゴールを達成できる可能性も高まるのです。

ピラミッドストラクチャーとロジックツリーの違いとは?

ロジカルシンキングの中でもロジックツリーと比較されることが多いのが、「ピラミッドストラクチャー」というメソッドです。

ピラミッドストラクチャーとは主張や結論を頂点に据え、その下に根拠や論考を列挙していく手法。主張や結論に関する根拠や論考を重要度に応じて上から下に向けて階層化させていくのが特徴で、図式化するとピラミッドの形状になるのが名の由来です。

ロジックツリーは、簡単にいえば問題解決に役立つもの。一方ピラミッドストラクチャーは、主張や意見交換を行うのに適しています。

ロジックツリー、ピラミッドストラクチャーとも予めゴールや結論を設定し、骨子を作って詳細を肉付けしていくプロセスは共通です。

ただしそれぞれのメソッドに適したベクトル、運用法がある点を押さえておくべきでしょう。

ロジックツリー作成に役立つツールやアプリとは?

最後に、ロジックツリーを作る際に役立つツールやアプリを紹介して締めくくります。

【Microsoft OFFICEツール】

・PowerPoint
OFFICEツールの中でも、特に図表作成に適しているのがPowerPoint。Web上にはロジックツリー作成を支援するテンプレートが多数公開されています。

書式を一から作らなくともテンプレートをダウンロードすれば、ツリーの中身を埋めていくだけで作成作業を進められるでしょう。

・Excel
仮にPowerPointを利用できない場合でも、Excelが使える環境ならばロジックツリーを簡単に作成できます。シート上に図を挿入する要領と同様に、SmartArtという機能を利用して図表を挿し込めばよいのです。

SmartArtの中から、ロジックツリーとして使える図表の挿入方法を紹介します。

手順

  1. Excelの「挿入」タブをクリック
  2. 「SmartArt」をクリック
  3. 画面左リストより、「階層構造」をクリック
  4. 「階層リスト」や「横方向階層」など、好みの図表を選択

【アプリ】
・TreeChart
TreeChartはスマホ上でロジックツリーを作れる無料アプリです。アウトライナーやマインドマップなど、呼称が異なる場合もありますが内容は同じです。

自宅やオフィスで何階層ものロジックツリーをじっくり作り込むよりも、出先で考えたアイデアを少ない階層のロジックツリーに落とし込むといった使い方に適しています。

・SimpleMind Lite
SimpleMind LiteはMac向けの無料アプリです。基本的な使い方はTreeChartとほとんど同じですが、Mac用アプリらしくインターフェイスや図表のデザインがスタイリッシュなのも魅力ですね。

なおiPadやiPhoneとのデータ同期を図りたい場合は、有料版にアップグレードする必要があります。

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