「フィードバック」の意味とは?混同しやすい「フィードフォワード」との違いも紹介!

「フィードバック」というと、反響や反応と同じであるように思われがちではないでしょうか。

確かにフィードバックには反響や反応というニュアンスも含まれますが、ピンポイントの本質ではありません。

フィードバックの本質は、出力に対する反動。フィードバックとは元々工学の分野における専門用語であり、反動や反作用を表すのに便利だという理由で広まった言葉なのです。

フィードバックの正しい使い方をマスターし、有効に活用していきましょう。

この記事の内容

フィードバックの意味をわかりやすく解説!語源はITや工学用語?

まずはフィードバックに関する基礎知識を整理しましょう。

意味や語源についても見ていきます。

ビジネスによるフィードバックの意味とは?

ビジネスシーンにおけるフィードバックとは、主としてスタッフが実施した業務についての評価や反響を、実施者本人に伝えることです。

特に権限がなかったり、情報に触れる機会が限られたりするスタッフクラスの場合、自分が実施した業務がどのように作用したかを直接把握しづらいもの。

そこで上司や権限を持ったキーパーソンが、当該スタッフの行った業務の結果を適正に把握・評価し、フィードバックする必要性があるというわけです。

フィードバックの意味は英語「feedback」に由来

フィードバックは英語の“feedback”に由来します。“feedback”とは特定の系からの出力を入力側に戻すことで、元々は電子工学やITの分野で使われていた用語です。

外部に出力した内容が入力側に帰還する・戻るという流れは、電子工学やIT以外でも多くの分野で見られる現象ですよね。

今日のようにフィードバックが幅広く使われるようになったのは、ごく自然な成り行きといえるでしょう。

フィードバックの正しい使い方を例文でチェック

フィードバックに関する基礎知識を踏まえ、場面ごとの使い方をチェックしてみましょう。

上司と部下の関係で使用する場合

部下は自分が果たした仕事の結果が、会社や外部に対してどのような影響をもたらしたかを把握できない場合がほとんどです。

上司が部下の仕事ぶりを的確に評価し、フィードバックしてあげる必要があります。

例文

「A君、シンガポールで行った発表会のフィードバックなんだけど」
「はい、反響はいかがですか?」
「ウチの商品に対して3社から引き合いをもらったよ!」

消費者と企業の関係で使用する場合

フィードバックは消費者と企業の関係においても大事な概念です。

消費者、すなわちエンドユーザーがどんな意見や感想を持っているかは容易にわかりません。

多くの企業が積極的にアンケートを実施したり、お客様相談室を設けて電話応対したりしているのも、消費者からのフィードバックを得るため。

商品をリリースしたきりで、反響を無視してはいけないともいえるでしょう。

例文

「消費者からのフィードバックを効率的に得るにはどうしたらいい?」
「SNSではいかがでしょう。無料で実現できますよ」
「利用料がタダなのは魅力だけど、実際は人が管理・運営していくわけだからね。つまり会社として人手を割き、労務費をかけてまでSNSを利用すべきかという議論になる」

デキるビジネスマンが教えるフィードバックの上手なやり方

フィードバックの仕方にはちょっとしたコツがあります。

デキるビジネスマンがどのようにフィードバックを活用しているのか、ポイントを見ていきましょう。

フィードバックが必要な理由とは?

そもそも、どうしてフィードバックが必要なのでしょうか。理由はシンプルで、アクションに伴って生じた結果について、知らない事実を把握し今後に活かすためです。

上司と部下の関係で行われるフィードバックのケースでも説明したように、部下がとった行動の結果について、本人が知り得ない事実や情報は上司が補足説明する必要があります。

例えば企業が手間やコストをかけてまでフィードバックを必要とするのも、自分たちが把握していない消費者の意見や感想を吸収するため。

もっといえば、自社が提供する商品やサービスの改善を図るためというわけです。

フィードバックの行われるタイミング

フィードバックはいつ行ってもよいわけではなく、適切なタイミングで実施するべきです。

具体的には結果が確定していたり、あるいは大勢を把握できたりしたタイミングで行うとよいでしょう。理由としては、状況が定まっていない時点では適正な評価を行うことができないからですね。

フィードバックも仕事や営為の一種である以上、一度のアクションで最大限の成果を上げる必要があります。

フィードバックを行うに相応しいタイミングとは、「フィードバックの効果が最も高くなるタイミング」ということでもあるのです。

フィードバックを構成する3要素

一口にフィードバックといっても、細かく見るといくつかの構成要素に分かれています。

フィードバックを構成するのは次の3要素です。

フィードアップ

フィードバックの効果を最大限にするためには、前段階としてフィードバックを行う目的や目標を設定するべきです。
フィードバックを行う目的や目標を確認する行程を「フィードアップ」といいます。

フィードバック

「フィードバック」とは、3つの構成要素のうち経過状況の振り返りや評価を行う行程に相当します。

フィードアップを踏まえ、目標に対する達成状況の評価を行うステージです。

フィードフォワード

フィードバックを実施した後、今後の施策や戦略を検討する行程が「フィードフォワード」です。

フィードバックの行程によって、何らかの反省点や改善点が浮上するもの。

反省点や改善点を踏まえ、次に打つべき手立てを考える未来志向のステージがフィードフォワードということですね。

一般的に、フィードバックとはフィードバック単独だと思われがちでしょう。

しかしフィードバックの効果を最大限に活かすには、1セットのサイクルとして運用していくべきなのです。

フィードバックの書き方と3つの型

フィードバックの代表的な書き方として、3つの型が知られています。順番に紹介しましょう。

サンドイッチ型

サンドイッチ型とはフィードバックをサンドイッチに見立て、相手に一番伝えるべきことをダメージがないように記述する手法です。

具体的にはフィードバックの最初と最後に相手を褒めるポジティブな内容を伝え、相手にとって耳の痛いネガティブな内容はフィードバックの中心に据えるのがポイント。

ただ単に改善点だけを伝えるだけではネガティブな内容で終わってしまい、受ける側も落ち込んでしまいがちですよね。

ところがネガティブな具材をポジティブなパンで挟み込むことにより、総合的にバランスの取れたフィードバックに仕上がるというわけです。

SBI型

SBI型とはSituation(状況)・Behavior(行動)・Impact(影響)の頭文字をとったフィードバック手法のことです。

フィードバックを行う際の手順として、まず状況を説明し、次に状況を踏まえて行動の分析を行い、最後に行動に伴う影響や結果を評価するという流れを取ります。

S・B・Iの順番通りに進行すればよいので、手順がわかりやすいのも特徴ですね。

ペンドルトンルール

ペンドルトンルールとは、心理学者であるペンドルトン氏が開発したフィードバック手法です。

ペンドルトンルールの要領は後述するコーチングと似ており、フィードバックを行う評価者が一方的に評価・判断・命令・指示するのでなく、対象者の意志や自主性を引き出そうとします。

対象者が自主的に反省し、改善点を見つけて今後のアクションプランを考えるようになれば成功。

主体的・自発的にアクションするようになるため、結果として一般的なフィードバックよりも高い効果が期待できるというわけです。

様々な分野で使用されるフィードバックの意味と関連語

フィードバックはビジネス以外の分野でも使われる機会があります。

代表的な分野の用例を見てみましょう。

スポーツにおける運動学習のフィードバックの意味

スポーツの分野においてフィードバックというと、スポーツ心理学の専門用語として扱われる場合があります。

具体的には「運動学習」という用語があり、運動学習とフィードバックは強い関係があるのです。

運動学習とは、感覚系と運動系の協応関係を伴う動作の学習のこと。特にスポーツにおける運動学習は、自身が直接体験した運動から得られる効果と、映像や伝聞などから間接的に得られる効果の2パターンに分けられます。

自身が直接体験した運動から得られる感覚は「内在フィードバック」、映像や伝聞などから間接的に得られる感覚は「外在フィードバック」です。

スポーツにおける運動学習のフィードバックは2種類あるというわけですね。

「体を動かすことばかりが運動ではない」という意見も、運動学習とフィードバックの関係を理解すれば納得のいくものですよね。

臨床心理学カウンセリングで使用されるフィードバックの意味

臨床心理学カウンセリングの分野で使われるフィードバックとは、学術用語の「バイオフィードバック」に相当します。

バイオフィードバックとは自律神経における電気信号のやり取りを、皮膚発汗・心拍数といった知覚しやすい形に変換して対象者に認識させることです。

バイオフィードバックは技術や技法としても確立しており、別称で生体自己制御とも呼ばれています。

看護で使用されるフィードバック機構の意味

看護の分野で使用されるフィードバック機構は、医療用語の一種です。フィードバック機構とは、体内の制御対象物が制御物質をコントロールする仕組みのこと。

具体的にはホルモン分泌のバランスを図る作用をイメージされればよいでしょう。

フィードバック機構の働きは正のフィードバック(ポジティブフィードバック)と、負のフィードバック(ネガティブ・フィードバック)の2種類に分けられます。

人体は正と負、2種類のフィードバックによって健康のバランスを保っているのです。

生物におけるフィードバックシステムの意味

看護の分野におけるフィードバック機構の仕組みは、実は人間だけの特権ではありません。人間以外にも同様の機能を持った生物がいるのです。

恒常性、いわゆるホメオスタシスを維持する機能を持った生物にはフィードバックの機能が備わっています。

すなわち、犬や猫のような哺乳龍もフィードバックの機能を持っているというわけです。

体温の維持・調節や細胞分裂などといったホメオスタシスをコントロールするには、神経や内分泌の相互作用が必要。

ホメオスタシスをコントロールするフィードバックの機能は、生物学上「フィードバックシステム」と呼ばれるものです。

フィードバックシステムは正のフィードバックと、負のフィードバックの2種類で動作します。

分野によって呼称は異なっても、内容として同じものを指す場合があるという点を押さえておきましょう。

googleなどで見られる「フィードバックを送信」の意味

googleなどのWebサービス上で、「フィードバックを送信」という文言を見ることがありますよね。

Webサービスにおけるフィードバックを送信とは、「エンドユーザー側からの意見や所感を伝達する」という意味です。

例えばgoogleは、サーチエンジンやメール管理など、主にWeb上でのサービスを提供しています。

各種サービスのレイアウトや機能、仕様を変更することもしばしば。結果としてgoogle側が把握していないバグや不具合、エラーの類が発生する可能性は常に潜んでいます。

また不具合のような問題事象に限らず、サービスや品質に関するリクエストもエンドユーザーからの貴重な意見です。

「フィードバックを送信」とは、エンドユーザーからの意見を送ってもらい、サービス改善につなげるための意見ポストだと理解すればOKでしょう。

フィードバックの言い換えや類語まとめ

フィードバックの言い換え表現や類語、間違いやすい語句などをまとめて紹介します。

映像業界などで使う用語「チェックバック」

「チェックバック」とは、制作物に対する修正指示のことです。映像などの制作業界における専門用語であり、一般的なビジネスシーンでは使いません。

チェックバックは「修正を指示する」という内容なので、フィードバックとは性質が異なることも明らかですね。

対話を通し考え方や選択肢を引き出す「コーチング」

「コーチング」とは自発的行動を促すコミュニケーション手法のこと。具体的には相手に問いかけ、思考を促し自分で答えを導くようにリードするといったアプローチを取ります。

フィードバックによるコミュニケーションは、客観的な情報伝達に重きが置かれますよね。

一方コーチングの場合は指導・育成を重視した内容であり、フィードバックとは異なる性質だといえるでしょう。

感想や意見のニュアンスが強い「レビュー」

「レビュー」とは評価・評論のことです。

レビューには評価者の感想や意見が反映されるため、あくまで客観的な情報伝達を行うフィードバックとは異なるものといえます。

指示や助言などによって直接指導「ティーチング」

指示や助言などによって、相手を直接指導する手法を「ティーチング」といいます。

コーチングと異なり、答えに直結する指導を行うアプローチが特徴です。

短時間で必要なノウハウを伝えられる一方、相手が自分の力で理解し獲得していくプロセスが損なわれがち。

指導や育成を行う際には、場面と必要性に応じてティーチングとコーチングを使い分けるとよいでしょう。

フィードバックとフィードフォワードの違いを覚えておく!

先の節で、フィードバックには3つの要素があると述べました。3要素の1つ、フィードフォワードにもう一度注目しましょう。

フィードバックで一番大事なのは所業に対する振り返りであり、結果の確認。結果を踏まえ、反省点や改善点を見出すのです。

一方フィードフォワードは未来志向であり、新しい目的や目標を定めて進むアプローチを指します。まずはフィードバックとフィードフォワードの違いを正確に認識しておきましょう。

フィードフォワードを効果的に行うためには、フィードバックをきっちり済ませる必要があります。

過去の反省点や改善点を明らかにした上で、新たな目的や目標を設定すればいっそう大きな成果を期待できるはずです。

フィードバック、フィードフォワードのどちらも、人や企業の成長・発展に欠かせない手法。それぞれの性質や役割を理解し、適切に運用していきましょう。

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