沢山ある「プロセス」の意味を理解しよう!ビジネス・IT業界では使い方に違いがある

「プロセス」には非常に幅広い意味合いがあります。「行程・手順」という和訳を機械的に当てはめるだけでは、十分に本質を掴めません。

例えばワープロの正式名称をご存知でしょうか。ワープロとは本来、ワードプロセッサーのこと。すなわちワープロの元々の意味は「文書作成プロセスを実行する媒体」というものなのです。

ワープロに限らず、プロセスは様々な場面や分野で使われていますよね。

プロセスの基本的な意味用法に加え、分野別の使い方、例文なども紹介します。

この記事の内容

プロセスの一般的な意味は物事の「手順」「手段」「方法」を表す言葉

プロセスの一般的な意味は、物事の「手順・手段・方法」というもの。

プロセスの性質については結論や結果ではなく、結論や結果に至るまでの過程や段取りに関するものとおぼえておけばよいでしょう。

シーン別でみるプロセスの意味や使い方を簡単解説

プロセスは過程や行程を表す言葉。シーンによって具体的な意味内容が付与されます。

代表的な事例を見てみましょう。

ビジネスのプロセスの意味は「過程や手順」

ビジネスシーンにおけるプロセスとは、「過程や手順」という意味。

例えば内部統制文書を取り上げると、「業務手順書」という総合的な業務マニュアルの下位に「販売プロセス」や「仕入プロセス」といった各業務ごとの手順書が紐付けられているはずです。

ビジネスにおけるプロセスを言い換えれば、「オペレーション内容の手順」と表現してもよいでしょう。

IT分野のプロセスの意味は「プログラミング用語の実行単位」

IT業界におけるプロセスは、「プログラムの実行単位」に相当します。

実行単位とはプログラミング用語の1つで、CPU(中央演算装置)が実行する処理の単位のことです。

先述のワードプロセッサーという呼称も、「文書作成に関するプログラムを実行している機械」という意味だと考えれば理解は容易でしょう。

ちなみにプロセスを細分化したものを「スレッド」といいます。

一般論として1つのプロセス内で、同じプログラムを並列して実行することはできません。

それでも同じプログラムを実行したい場合はプロセスを細分化、すなわちスレッドを分割(マルチスレッド)して実行すればよいというわけです。

マルチスレッドでプロセスを実行するには相応のマシンパワーが要求され、単一のプロセスを実行するよりも多くのメモリやCPUが必要です。参考情報として覚えておきましょう。

印刷業界のプロセスの意味は「多色印刷の技法」

印刷業界におけるプロセスは若干特殊で、「プロセス印刷」という印刷技法の名称を指します。
印刷の前提知識として、色調はシアン(緑)、マゼンタ(赤)、イエロー(黄)、ブラック(黒)という4つのカラーで構成されることを押さえておきましょう。

カラープリンターのインクカートリッジをじっくり見たことがある方は、“CMYK”という4つの英字に見覚えがあるはず。

“CMYK”とはカラーの4要素を表しており、フルカラーとは“CMYK”を網羅したカラーのことです。

一般にフルカラーと呼ばれているものは、印刷用語で「プロセスカラー」といいます。

プロセスカラーで表現する印刷技法が「プロセス印刷」というわけです。

プロセスの正しい使い方を例文でチェック

続いて、文章の中でプロセスを使う場面を想定してみましょう。具体的な状況をイメージするため、例文を交えて紹介します。

プロセスを踏む

「プロセスを踏む」とは段階を踏む・手順に沿うといった意味合いで、概ね「ステップを踏む」と同義の表現です。

物事を一足飛びに済ませるのでなく、順を追って段階的に状態を進めていく様を表します。

プロセスを進める

「プロセスを進める」とは、手順を進行させる・流れを進めるという意味合いです。

段取りや予定が決まってり、変更なく進行させることを表すと考えればよいでしょう。

プロセスを見直す

作業の手順や過程を見直すことを「プロセスを見直す」といいます。

主にビジネスや研究の分野で使われる表現で、結果や成果物に至るまでの経緯・作業過程をチェックするということです。

研究の結果に疑義があったり、業務手順の質を向上させる必要があったりする場合に使われることが多い表現といえるでしょう。

プロセスの付いた言葉の意味をチェック

プロセスと、他の語句を組み合わせたフレーズは多数存在します。

代表的な例を挙げてみましょう。

より高い成果を目指すための「プロセス管理」

「プロセス管理」とは、進捗管理もしくは工程管理のことです。

メーカーにおける生産ラインの品質チェックなどは代表的なプロセス管理の事例といえます。

例えば製造プロセスを工程ごとに細かく監視することにより、流れがスムーズでない工程を洗い出して改善につなげる、といった取り組みが可能になるというわけです。

患者とのコミュニケーションを文章で記録「プロセスレコード」

医療現場においては、患者とのコミュニケーションに関する記録を「プロセスレコード」といいます。

医療におけるプロセスとは、患者に対する診察・施術・ケアといった医療行為の過程です。

例えば入院患者であれば、入院から退院までの過程・経過がプロセスレコードの対象期間ということになります。

業務の効率化と改善を目指す「プロセスアプローチ」

「プロセスアプローチ」とはISO(国際標準化機構)が定める品質マネジメントシステム、ISO9000シリーズに基づく概念です。

プロセスアプローチの内容は、企業などの組織における業務や作業の流れを、ISOが定める条件に合致した「プロセス」という単位で管理するというもの。

簡単化すればあらゆる業務・作業を、プロセスという単位ベースで管理していく手法のことです。

プロセスの定義に条件が付与されているものの、内容としては内部統制における業務プロセス管理とよく似たものと考えてよいでしょう。

パソコンの情報処理に欠かせない「アプリケーションプロセス」

「アプリケーションプロセス」はIT用語の一種で、情報処理プロセスにおいてデータ更新の際、アプリケーションが進めていた処理が引き継がれる仕組みのことです。

具体的な例としてはWebショッピングにおけるカートの中身と、決済情報の関係が挙げられるでしょう。

一般的にWebストアで買い物をする際、同一サイト内であれば異なるページ間を行き来したり、ページを切り替えたりしてもカートの中身に関する情報は引き継がれますよね。

カートの中身の終着点は、Webサイトにおける決済画面。サイト内の異なるページにおいて都度カートに追加された商品データを集約し、最終的な購入対象商品データとして、決済画面のページで電子決済を受け付けるという流れになっているのです。

上記例のように、アプリーケーション上のデータを受け渡しながらプロセスを進行していく情報システムの仕組みを、アプリケーションプロセスといいます。

トヨタ自動車のかんばん方式に代表される「プロセスイノベーション」

「プロセスイノベーション」とは、業務の過程・工程を革新的な仕組みに改めることです。

改善といえばトヨタ、イノベーションといえばトヨタ。トヨタ自動車のかんばん方式(ジャストインタイム方式)は、プロセスイノベーションの顕著な例といえます。

トヨタ社のかんばん方式とは、作業に必要な部品や数量に関する指示書を「かんばん」に見立てて運用する手法。

前の工程からかんばんを受け取ったら、作業に必要な部品・材料を必要な分だけ使用し、当該かんばんを前の工程に返却します。

消費した分の部品や材料は都度補給し、余剰分は注文しません。簡単にいえば、必要な時に必要な分だけ製造し、必要以上の在庫は抱えないようにするというわけです。

トヨタ社には改善・革新の風土が根付いているとして、改善行動の引き合いに必ず出されるほど有名ですね。

トヨタ社のかんばん方式は、あくまでプロセスイノベーションの一例です。

既存の手法を見直し、仕事のプロセスを劇的に改善するチャンスは至るところに潜んでいるといえるでしょう。

スーパーで売っているチーズの種類「プロセスチーズ」

チーズには大別して2つの種類があります。ミルクを直接発酵させて作るのがナチュラルチーズ。ナチュラルチーズを一度溶かし、再び成形したものが「プロセスチーズ」です。

プロセスチーズを作るにはナチュラルチーズを溶かしただけでは不十分で、乳化剤などを加えて成形する工程が必要。

プロセスチーズに「プロセス」という語句が入る理由としては、加工の工程が介在することが挙げられるでしょう。

プロセスの類語や対義語まとめ

プロセスに類語・対義語をまとめてチェックしましょう。

<類語>
・過程
プロセスに最も近い意味合いの日本語が「過程」です。過程とは物事の流れという意味で、結果に至るまでの行程・道筋に当たります。

・手順
「手順」とは段取りや順序のこと。業務や作業の進行における「ステップ」と同義といえます。

・工程
完成品に至るまでの作業の段階を「工程」といいます。主に製造業において使われる語句で、例えば第一工程・第二工程のように、いくつかの工程に分けられるのが特徴です。

<対義語>
・結果
過程や工程は、結果に行き着くまでのプロセスに相当します。言い換えると、過程や工程の対義語は「結果」というわけです。製品製造における完成品と仕掛品の関係も同様といえるでしょう。

日本語と同じ意味?プロセスの英語表現も覚えておく

プロセスとは元々、英語の“process”に由来します。“process”の意味はカタカナ語のプロセスとほとんど同じですが、IT用語のプロセスのように「何かを処理する・手続きを行う」といったニュアンスが含まれるのが特徴です。

冒頭のワープロなどは典型例で、ワードプロセッサーを英字表記すると“Word Processor”。すなわち「文書作成のプログラムを処理・実行する機能の媒体」というわけです。

最後に、英語“process”を使った簡単な英文やフレーズを紹介します。

例文

・three-color process
三色印刷法

・manufacturing process
製造工程

・5 steps to job hunting process
転職活動に向けての5つのステップ

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