「示唆される」ってどんな意味?英語で言い換えると?関連フレーズや類語も紹介!

「示唆」とは「示す」と「唆す」が組み合わさった奥深い語句です。「示唆する」「示唆される」のように、活用形になると一段と使い方が広がります。

「示唆される」というと、客観的な状況説明のニュアンスがありますよね。物事が明らかになっておらず、手掛かりを探すようなシチュエーションが想起されるでしょう。

「示唆される」とは学術や研究、分析、捜査などといった情報を取り扱う分野におけるキーワードの1つ。

もちろんビジネスシーンにおいても有用です。意味や用法を正しく理解し、適切に活用できるようにしていきましょう。

この記事の内容

「示唆される」の意味とは?英語表現もわかりやすく解説

はじめに「示唆される」の意味から確認しましょう。

原型の「示唆」、活用形の「示唆される」の順番にみていきます。

何かを知らせる間接的な表現「示唆」の意味

「示唆」とは「示す」と「唆す」を組み合わせた語句のこと。直接的ではなく、間接的に何かを知らせる意味を含みます。

「示唆」は主として断片的な情報を指し、手掛かりや状況証拠などが代表的。間接的ながらも有力な情報を示すものであれば、「示唆深い」もしくは「示唆に富む」といった表現がなされます。

「示唆される」は動詞「示唆する」に助動詞「れる」が付いた形

「示唆される」は活用形の1つだと述べました。具体的には動詞「示唆する」の「さ」行に、受身の助動詞「れる」が付いた形です。

一般的に「示唆する」という場合は動詞の主体が明らかで、人や物が主語になります。

一方受身形である「示唆される」の場合は「可能性」や「結論」などといった形のないものも主体になり得るため、表現自体が不明瞭で抽象的になることがしばしばです。

「示唆される」とは解釈の余地が広い言葉である、ということを覚えておきましょう。

「示唆」の英単語「suggestion」「implication」「indicate」は用途で使い分け

「示唆」を英単語に訳すと、大きく3つに分けられます。箇条書きで列挙しましょう。

suggestion

一般的には人による「提案」と訳される場合が多い単語ですが、「示唆」という意味もあります。「ヒント」という訳の方が日本人にはなじみやすいかもしれません。

implication

「含蓄」や「内包」といった、「内に含む」というニュアンスの単語です。表出しておらず、内に隠されている様を表します。

indication

「指示」や「兆候」、「度数」という意味です。指数や度数といった目安を伴う場合も多く、工学機器のインジケーター(indicator)を想起すればよりわかりやすいでしょう。一番「示唆」に近い意味は「兆候」ですね。

「示唆される」の英語表現は「It is suggested」が一般的

英語で「示唆される」を表現すると、“It is suggested”につなげる形になるのが一般的です。

例文

“It is suggested he is a businessman.”
(彼はビジネスマンであることが示唆される)

ちなみに文章が“It is”で始まるのは付帯状況を表すため。例えば“It is raining.”(雨が降っている)のように、漠然と状況を表す際には“It is~”と書き出すのがセオリー。

“It is suggested”には「単に示唆される」というだけでなく、「状況から察するに」という前置きのニュアンスがあると考えればわかりやすいですね。

「示唆」には2種類の使い方が存在?「示唆される」の使用シーン

品詞に注目すれば、動詞と名詞とで役割や使い方が変わることがわかりますよね。

英語でいえば“suggest”が動詞で、“suggestion”が名詞。“suggested”が動詞の受身形です。

日本語の「示唆」も同様、動詞と名詞とで使い方が異なります。

品詞に注目しつつ詳細を見ていきましょう。

そのまま名詞として使用するパターン

「示唆」は名詞です。例えば「暗示」や「指示」などと同様、特に主体がなくても使うことができます。

「示唆する」のように動詞として使用するパターン

「示唆する」は動詞の用法です。動詞形の場合は単独での運用ができないので、行為の主体が必要になります。

具体的には人や物などが主体に当てはまり、人や物などが「示唆する」というアクションを行うのです。

「示唆される」はどんなシーンで使われている?

動詞の受身形、「示唆される」は様々なシーンで使われます。ビジネスだけでなく、学術、評論、ITなど情報を取り扱うあらゆる分野で役立つ言葉といえるでしょう。

「示唆される」は「推測される」と似た意味で使用できますが、違いもあります。「推測される」というフレーズは基本的に主体が人に限られますよね。

一方「示唆される」の場合、人以外のものも主体になり得ます。例えば状況証拠や付帯状況から、何らかの結論が示唆されるケースもあるでしょう。

「示唆される」は人以外でも主体になり得るという点において、情報を扱う様々なシーンや分野で使われているのです。

論文で「示唆される」という言葉が適切なワケ

「示唆される」がよく使われる分野の中でも、研究や論文は特に親和性が高いといえます。

論文とは主に研究の内容や意見を発表する媒体。特に結果が世間的に浸透・定着していないものについては断定ではなく、推測や検証を続けた結果を述べるプロセスが必要でしょう。

研究や検証の結果を観察すると、データから規則性、法則などといった相関関係や成果が導かれるはず。すなわち研究や検証の結果から、不確かで形や評価の定まっていない、何らかの未知の存在が「示唆される」ということです。

研究や論文とは、主として未知のものに関する探求を続けるからこそ価値があります。考察と観察を繰り返し仮説を立てて推理しつつ、自らが立てた仮説の信憑性を高めるため、検証を重ねていくプロセスが大事なのです。

未知のものに迫っていく過程で、「示唆される」というフレーズは非常に有用であることは言うまでもないでしょう。

代表的な「示唆される」の使い方を3つの例文でチェック

先述の通り「示唆される」は幅広く使われていますが、ある程度パターン化もされています。

代表的な用法を3つ紹介しましょう。

「示唆される」

まずは基本のパターン、「示唆される」です。

主体が定まっていないので人や物、あるいは状況などといった様々なものが示唆に関わるでしょう。

「可能性が示唆される」

示唆される対象が「可能性」である際に使われる表現です。

断片的な情報から一定の「可能性」が導き出された場合に当てはまります。

「暗に示唆される」

明確もしくは明快ではないものの、遠回しに示されたり含みを持たされたりといった場合には、「暗に示唆される」という表現が妥当です。

結果について断定はできないものの見当がついている時や、あるいは表立って自分の意見を言えない時などには得てして婉曲的な方法で表現するもの。すなわち、婉曲的に表現されることを「暗に示唆される」というわけです。

「示唆される」以外の使い方とは?「示唆」を用いた頻出フレーズを例文でチェック

「示唆」には受身の動詞形、「示唆される」以外にも使い方があります。

「示唆」のついた頻出ワードや頻出フレーズをチェックしておきましょう。

「示唆」を動詞として使用する「示唆する」

「示唆」を動詞として使用する場合は「示唆する」と表現します。

「示唆する」は動詞であるがゆえに、動作の主体が必要です。人や物という具体的な主体がなくては、「示唆する」というアクションを実行できません。

状況など、漠然とした主体も許容される受身形の「示唆される」との違いとして覚えておきましょう。

色々と教えられることが多い「示唆に富む」

「示唆に富む」とは、有益な情報が豊富であること。

「示唆」という場合は断片的な情報が多いものですが、「示唆に富む」の場合は価値の高い情報が豊富である様を表します。

それとなくヒントやきっかけを与える「示唆を与える」

結論や答えを相手に直接教えるのではなく、それとなくヒントやきっかけを与える行為は「示唆を与える」に該当します。

相手に道しるべを示すこと、と考えればわかりやすいでしょう。

他人から良い影響を受けたり自己の利益になったりするもの「示唆を受ける」

他人から良い影響を受けたり、自己の利益になったりすることを「示唆を受ける」といいます。

インスピレーションを受ける、もしくは触発されるといったニュアンスに近く、「示唆」と付くフレーズの中では比較的内容が明快といえます。

ヒントを得ること「示唆を得る」

「示唆を得る」とは、簡単にいえば「ヒントを得る」ということです。公的な文書を作成したり、あるいは口頭で論述したりする際には「ヒントを得る」というくだけた言い回しは難しいもの。

「ヒントを得る」と同じ内容であっても、「示唆を得る」と文語的に表現すればシーンによらず使うことができます。

否定的なニュアンスを含むことが多いのが特徴「示唆的」

「示唆に富む」や「示唆深い」といったフレーズは肯定的な内容を表すもの。

一方、否定的な内容を表すフレーズもあります。「示唆的」は本来ポジティブ・ネガティブのどちらの内容にも使われる語句ですが、ネガティブな意味で使われることもしばしば。

例えば「示唆的な言動」という場合、不適切であったり好ましくなかったりする内容の発言であることが窺えます。すなわち「不適切な言動」という代わりに、「示唆的な言動」と言い換えられる場合があるということです。

「示唆」の付くフレーズとしては例外的な用法ですが、併せて覚えておきましょう。

「示唆される」の類語や言い換え表現を例文と一緒にチェック

次は「示唆される」の類語や言い換え表現についても触れましょう。

例文とセットで紹介します。

発生前の事柄を予想する意味「暗示する」

「暗示する」とは、文字通り暗に示すという意味。

明快で具体的な要領ではなく、それとなく分かるように示すことをいいます。「示唆する」とよく似た意味合いです。

さりげない態度で示すという意味「匂わす」

「匂わす」とはさりげない態度で示すという意味で、人が主体となります。

「態度」という、意志や感情を伴った媒体は人間ならではのものだからですね。

ほのかに示したりするという意味「仄めかす」

「匂わす」と同様、しぐさや表情などの態度によって間接的に相手に伝えることを「仄めかす」といいます。

動詞「仄めかす」は形容動詞「仄か」の派生語です。ご存知ない方でも、「仄か(ほのか)に香る」という言い回しなら馴染みがあるでしょう。

「仄か」と同様、「仄めかす」とはわずかな気配、態度などによって、伝えたい内容をそれとなく表現するということなのです。

推し量るという意味「推察される」

「推察される」とははっきりと明確ではないものの、推量によって窺い知れるということ。

「示唆される」というよりも人が関与するニュアンスが強く、人が主体となって推し量ることが前提のフレーズです。

それとなく間接的に知らせる意味「糸口」

「糸口」とは手掛かりやきっかけのこと。「端緒」とほぼ同義で、問題解決のきっかけなどが当てはまります。

類語の「突破口」と比べると、「糸口」はおしなべて目立たず気づきにくいため、観察力や注意力が要求されるという点が特徴です。

手掛かりという意味「手蔓」

「手蔓」(てづる)とは、手繰り寄せるべきツテや手掛かりのことで、「よすが」と同義です。「蔓」とはつる植物の意。

つる植物は手でつかんで引き寄せたり登ったりといった使い方ができますよね。従って、「手蔓」とは手繰り寄せて使う蔓のことだと連想できるでしょう。

社会人が勘違いすると恥ずかしい!「示唆される」と意味を混同しがちな4つの言葉

「示唆される」と似て非なる4つの言葉があります。

混同しがちですが、社会人としては違いを把握しておきたいもの。意味を勘違いして恥をかかないよう、今一度チェックしておきましょう。

「考えられる」の違い

「考えられる」とは、思考に基づいて予測や想像ができるということ。思考が前提となるため、主体はあくまで人に限られます。

「示唆される」の場合は人以外でも様々なものが主体になり得るため、本質的に「考えられる」とは別の言葉といえます。

「示される」の違い

「示される」とは主に人以外の対象について、内容が明らかにされるということ。

例えば「行くべき道が示される」という言い方が当てはまります。人は示される対象として該当せず、あくまで物や概念などが該当するということですね。

「教唆」の違い

「教唆」とは、おだてて唆すこと。簡単にいえば「悪知恵を付ける」というニュアンスに近く、相手に悪知恵を付け、意図的にアクションさせるという意味合いです。

「教唆」は悪事を働く行為につながるため、特に「示唆」とは区別し、双方の混同・誤用を避ける必要があります。

「指示」の違い

「指示」とは命令・指図のこと。前提として、指示を出す立場の人物が存在するともいえます。

「示唆」は間接的で漠然としたものであり、内容や性質が直接的な「指示」とは相反するといえるでしょう。

まとめ

「示唆される」は使い方が豊富で幅広い分、扱いが難しい言葉です。「指示」や「命令」のように具体的な内容を伴った語句は理解しやすいもの。

一方「示唆される」のように漠然としており、解釈や運用の余地が大きい言葉はどうしても複雑になります。

「示唆される」は論文を代表とした、情報を取り扱うあらゆる分野の頻出ワード。つまづいた方は今一度記事全体を読み返し、是非使いこなせるようにしておきましょう。

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