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「賜りますよう」の意味とは?「くださいますよう」との違いは?使い方を例文付きで紹介!

人にお願いをする際、「賜りますよう」という言い方をする場合がありますよね。

選挙活動の演説やアナウンスなどが典型例で「お力を賜りますよう」など、どちらかといえば大仰な言い回しがつきものです。

「いただきますよう」や「くださいますよう」といった類似表現と、「賜りますよう」とは一体どこが違うのでしょうか。

敬語表現、敬意の度合いといったポイントに注目しながら追及してみましょう。

ビジネスシーン必須「賜りますよう」の意味や読み方を簡単解説

「賜りますよう」は謙譲語「賜る」の活用形で、「たまわりますよう」と読みます。

「賜りますよう」はビジネスシーンにおいて必須というべきフレーズの1つ。

意味をチェックし、使い方や使うべき場面も押さえておきましょう。

感謝や敬意を示す「賜る」の意味

「賜る」とは「目上の人からもらう」という意味で、単語そのものが謙譲語の役割を果たします。

特に目上の相手からの厚意や施しなどを、ありがたく受け取る場合に用いる表現です。

ちなみに古くには「下賜」という言葉があり、意味としては特別に身分の高い人物が「目下の者に対してものをあげる」というものでした。

現代では使われなくなった表現ですが、古くは「賜る」を「下賜」と同義の尊敬語として使う用法もあったことを覚えておくとよいでしょう。

「賜る」は「くださる」や「いただく」をさらに丁寧な敬語にした言葉

「賜る」は「くださる」や「いただく」をいっそう丁寧にした言葉。

「くださる」や「いただく」は元々敬語ですが、より度合いの強い敬意を表す表現が「賜る」だということですね。

補足すると、「くださる」や「いただく」は敬語表現上の補助動詞として使われる場合があります。

「くださる」や「いただく」は、文脈によって動詞なのか補助動詞なのかを判別するのに手間取ることもしばしばでしょう。

例えば「~してくださる」「~させていただく」という表現の場合、「くださる」や「いただく」はいずれも補助動詞としての用法です。

一方「賜る」は動詞であることが明らかですよね。

「賜る」を使う場合、「くださる」や「いただく」のように補助動詞と混同してしまう可能性を排除できます。

結果として文章をシンプルに整え、なおかつ敬意の対象も明確にしやすいというメリットが得られるわけですね。

「賜りますよう」は目上の相手に何かをお願いするときに使う

「賜りますよう」は「賜る」の応用表現で、目上の相手から何かをもらいたいという意味。

ただ単に「もらいたい」では敬意を表することにならないので、目上の相手に対する敬語として相応しい言い回しにすべきです。

「賜りたい」だと、やや慇懃無礼で偉そうな印象を与えてしまいますよね。

より相手を立てるためには自らへりくだり、丁寧語を付け加える方がよいでしょう。

以上を踏まえ、「賜り」に丁寧の助詞「ます」とお願いのニュアンスを含む助動詞「よう」を組み合わせれば、目上の相手に何かをお願いするフレーズ「賜りますよう」の完成です。

大げさに感じてしまう場面では「くださいますよう」「いただきますよう」という表現で充分

「賜る」は「くださる」や「いただく」よりも強い敬意を表す言葉。応用形の「賜りますよう」は、「くださいますよう」「いただきますよう」よりもいっそう丁寧な言い回しです。

例えば上司や先輩など日常的に接する相手であれば、目上の相手であっても「賜りますよう」とお願いするのは大げさですよね。

正に慇懃無礼でわざとらしく、かえって悪い印象を与えてしまう可能性もあります。「過ぎたるは及ばざるが如し」の言葉通りですね。

特に改まった場面や特別な相手と接する機会でなければ、「くださいますよう」「いただきますよう」という言い回しで敬意は十分に伝わるのです。

フレーズ別「賜りますよう」の正しい使い方を例文と一緒にチェック

「賜りますよう」の基本的な意味用法を踏まえ、組み合わせによるフレーズを取り上げます。

代表的なフレーズを例文付きでチェックしましょう。

何かを依頼・承認をいただく場面「ご理解賜りますよう」

何かを依頼・承認をいただく場面では「ご理解賜りますよう」という言い方をする場合があります。

例えば企業の上層部に対して稟議書の承認や経営判断を仰ぐ際、「ご理解賜りますよう」という一文を付けるケースはしばしばですよね。

先述の通り、日常的にやり取りを行う直属の上司などに対しては「ご理解賜りますよう」という改まった表現をする必要はありません。

一方、身内といえども経営のトップ層とやり取りする機会は限られるもの。特に経営判断、すなわち代表者の承認を得るという行為は大変なものです。

特別なものを依頼したり承認をいただいたりするような場面では、「ご理解賜りますよう」というお願いの仕方をするのが妥当といえるでしょう。

すなわち、相手との距離感によって表現方法を使い分けるべきだということです。

例文

新規得意先A社との取引開始について、下記の通り申請いたしますのでご理解賜りますよう宜しくお願いいたします。

力を合わせること・考えや意見を一致させたい場面「ご協力賜りますよう」「ご支援賜りますよう」

選挙のシーズンになると、至るところで聞かれるのが「ご協力賜りますよう」「ご支援賜りますよう」というフレーズ。

主として力を合わせたり、考えや意見を一致させたりという場面で人々を頼る際に使われる表現です。

独力では達成や解決ができない物事について、第三者の協力を仰ぎたい場合には欠かせないフレーズといえるでしょう。

特に身内ではなく、全くの他人や大勢の人々を頼る際に使われるのも特徴です。選挙活動と親和性が高いのも納得ですね。

例文

「立候補の公約として、幼稚園・保育所の拡充を掲げます。皆様にはご協力賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます」

色々と教えていただきたい場面「ご指導(ご鞭撻)賜りますよう」

教えを請い、指導を受ける立場にある場合には「ご指導(ご鞭撻)賜りますよう」という言い方があります。

「ご指導(ご鞭撻)いただきますよう」でも問題ないのですが、人に師事したり色々と教わったりという立場を踏まえ、より腰の低い丁寧な姿勢を表す際には「ご指導(ご鞭撻)賜りますよう」という方が妥当ですね。

例文

業務未経験につき何かとご迷惑をおかけするかとは存じますが、ご指導賜りますようお願い申し上げます。

依頼や用事を受けたい・申し付けられたい場面「ご用命賜りますよう」

顧客から依頼や用事を受けたい、申し付けられたい場合には「ご用命賜りますよう」という表現が適切です。

要旨を簡単にいえば「お仕事ください」ということなのですが、いわゆるクライアントに対してくだけた言い方をするのは失礼に当たります。

対外的に広告を出すような場合は特に注意が必要で、最も丁寧な言い回しを選ぶべきです。

以上を踏まえると、用件・用事というよりも「ご用命」の方が適切ですし、「ご用命をもらう」という意味で敬語表現を整えるならば「ご用命賜りますよう」とするのがベストでしょう。

例文

修理の見積り・相談がございましたら、ご用命賜りますようお願い申し上げます。

結婚式・パーティーの出席を依頼する場面「ご出席賜りますよう」

結婚式・パーティーの出席を依頼するような、改まった場面では結論部分に「ご出席賜りますよう」という文言を盛り込むのがセオリーです。

結婚式・パーティーといえば、いわば晴れの機会でありフォーマルな場面。

ドレスコードも服装だけが要求されるわけではなく、振る舞いや言葉遣いなども式・パーティーに相応しいものでなければなりません。

当然、主催者側の品格も問われます。結婚式・パーティーに招待する際には、相手に対して最大限の敬意を払う言い回しが必要です。

日常的な飲み会や宴会の類にお誘いするのであれば「ご出席くださいますよう」で全く構いませんが、やはり大切な友人・知人をフォーマルな祝いの会に招待する文言としては、「ご出席賜りますよう」とするのが望ましいでしょう。

例文

この度下記要領にて、披露宴を行う運びとなりました。ご多忙とは存じますが、何卒ご出席賜りますようお願い申し上げます。

質問や問いかけの返答をもらいたい場面「ご回答賜りますよう」

質問や問いかけに対する返答をもらいたい場合には「ご回答賜りますよう」と述べるのがよいでしょう。

相手に時間を割いてもらうという点で、質問や問いかけをする側がへりくだった姿勢を打ち出す意味でも必要といえます。

「ご回答賜りますよう」はどちらかといえば書き言葉として使われることが多く、行政や企業のアンケート・質問状といったビジネス文書、もしくは書類・メールなどの媒体でよく見られる文言ですね。

例文

商品およびサービスの品質改善を図るべく、アンケートを実施しております。お手数とは存じますが、ご回答賜りますようよろしくお願いいたします。

アポイントや打ち合わせの依頼をしたい場面「お時間を賜りますよう」「機会を賜りますよう」

相手先とアポイントや打ち合わせの依頼をしたい場面では、挨拶の結論部分に「お時間を賜りますよう」もしくは「機会を賜りますよう」のいずれかを使うのがセオリーです。

質問や問いかけの返答を促す場合の考え方と同様、相手の時間をもらい、話し合いの機会を与えてもらうことについて敬意を表する必要があります。

用事があるのは自分の側であり、相手はあくまで付き合わされる側なのだと考えれば、必然的に最も丁寧な表現が導かれるでしょう。

例文

ご多忙の折大変恐縮でございますが、御社ディレクターとの単独インタビューの機会を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

出会いや面識をもちたい場面「ご縁を賜りますよう」

会ったことのない人物との出会いや面識を作りたい場合、こちらからお願いする意味で「ご縁を賜りますよう」という言い方をします。

簡単にいえば「顔合わせ願いたい」という意味なのですが、より丁寧でへりくだった表現をするためには「ご縁を賜りますよう」が適切。

自分が一方的に切望しているような、いわゆる片思いのシチュエーションを想定すればわかりやすいでしょう。

例文

ヒット商品Xを開発したことで著名な、高橋部長とのご縁を賜りますようお願い申し上げます。

「ご高配賜りますよう」「ご配慮賜りますよう」は使い方に注意が必要

「賜りますよう」と組み合わせるフレーズの中でも、使い方に注意が必要なものがあります。一例を紹介しましょう。

「高配」「配慮」はこちらからお願いするものではないので厚かましい感がある

特に意識せず「ご高配賜りますよう」や「ご配慮賜りますよう」と聞くと、丁寧で耳障りの良いフレーズに思われますよね。実のところ「高配」や「配慮」は、こちらからお願いしたり促したりするようなものではありません。

もう少し簡単な言葉を引き合いに出すと、「厚意」というものがありますよね。

厚意は、あくまで相手が主体となって表現されるもの。自分から「ご厚意をお願いします」などと催促することはあり得ないでしょう。

「高配」や「配慮」は厚意の類語に当たり、相手からの気遣いや気配りを表します。厚意と同様に、「高配」や「配慮」も相手が主体となって行われるもの。

相手に自分への気遣いや気配りをするよう促す、「ご高配賜りますよう」や「ご配慮賜りますよう」という言い回しは、マナーとしてNGです。

話をより簡単化すれば、立派な社会人が「私に気を遣ってほしい」「私に配慮してください」などと発言することはあり得ません。いかに丁寧な言い回しをしようとも、発言の内容が幼稚であってはいけないという好例ですね。

「お引き立てを賜りますよう」や「ご支援を賜りますよう」スマートな言葉へ言い換えよう

先の節では「高配」や「配慮」は相手が自発的に行うものであって、こちらから促したりお願いしたりするものではないと述べました。

とはいえビジネスには本音と建前が付きもの。本音としては、相手からの厚意を引き出したい場合もあるものです。

相手からの厚意を引き出したい時には、「お引き立てを賜りますよう」もしくは「ご支援を賜りますよう」という言い方をするのがスマートでしょう。

「引き立て」「支援」は、自他のいずれが使ってもおかしくない語句。

相手を主体に設定した敬語表現は「お引き立て」「ご支援」で、相手に「お引き立て」や「ご支援」をお願いしたい場合は「お引き立てを賜りますよう」もしくは「ご支援を賜りますよう」と表現することになります。

「賜りますようお願いします」は間違い?文法的な解釈

「賜りますようお願いします」は、一続きのフレーズとして定着していますよね。間違いとも言い切れませんが、実のところ文法的には少し引っかかりのある表現です。

基本的な意味用法の項で述べたように、「賜りますよう」には相手に対してお願いするニュアンスが含まれます。

従って「お願いします」を付けなくとも意味は通じますし、むしろ「お願いします」と付けることでお願いのニュアンスが重複してしまうのです。

とはいえ実際に「賜りますよう」とだけ発言すると、まるでお高くとまった貴族のような印象を与えてしまうでしょう。

というのも現代の日本語表現上、人にお願いする場合は「お願いします」というフレーズが必須とされているからです。

以上を踏まえると文法的な問題はともかくとして、現実的には「賜りますようお願いします」という言い回しで運用していくのが妥当ですね。

「賜る」と「承る」は意味が違う?使い方を間違えると恥ずかしい言葉

書き言葉だとそうそう間違えることはなくとも、話し言葉だと取り違えてしまう可能性があるのが「賜る」と「承る」の関係です。

ひらがな表記するとわかりやすいのですが、「たまわる(賜る)」と「うけたまわる(承る)」は響きがよく似ていますよね。

「承る」は、相手からのアクションに対して受け入れる・承知するという意味。「承諾」「承認」などの熟語を見ても明らかで、人からもらう・受け取るという意味を表す「賜る」とは性質が異なります。

第三者が介在するという点も共通しているため少しややこしいですが、「賜る」と「承る」は全く別の言葉であることを認識しておきましょう。

「賜りますよう」はビジネスシーンで使いすぎ厳禁

「賜りますよう」はとても丁寧な敬語表現です。丁寧であるがゆえに、先述した通り使いどころを誤ると慇懃無礼な印象を与えてしまいます。特にビジネスシーンでは注意が必要でしょう。

ビジネスシーンにおける言葉遣いで大事なのは、相手との距離感に尽きます。お察しの通り「賜りますよう」とは、ある程度距離のある相手に使う語句なのです。

目上の相手でも、日々やり取りしている上司や先輩に対して「賜りますよう」と発言するのは不自然に聞こえるはず。

仮に相手が取引先であっても、ある程度関係が成熟している場合は他人行儀な言葉遣いをやめる方がよいこともあるものです。

大事な注意点として繰り返しますが、「賜る」は「くださる」や「いただく」をさらに丁寧な敬語にした語句。「くださる」や「いただく」でも丁寧ですし、意味も通じるのです。

ビジネスシーンで「賜りますよう」と発言する場合は相手との距離感を見極め、ここぞという場面で使うようにしましょう。

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