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「マスト」の意味とは?ニードやウォントとはどう違うの?位置づけを相対化してみよう

近年、「マスト」の使用割合が増しつつあります。日常生活の中では「マストアイテム」のように、必須のもの・必需品という意味で知られていますよね。

一方ビジネスにおいては義務や納期などといった強制力を伴う場面で、英語教育で学ぶ用法に近い形で運用されています。

カタカナ語のマストを理解するには、まず英語の“must”を知るのが一番。

語源である英語表現を踏襲し、正しい使い方を学びましょう。

ビジネスシーンでみるマストの意味

マストは元々、ビジネスと親和性の高い言葉です。なぜなら仕事とは納期や約束といった、強制力と切り離せないものだからですね。

マストを理解するためのカギは「強制力」です。強制力に注目しながら、ビジネスシーンにおけるマストを考えていきましょう。

マストは「絶対に必要」「必要不可欠」義務や命令の意味

英語教育で学ぶ通り、マスト(must)とは「絶対に必要」や「必要不可欠」という意味です。

例えば納期や期限の決まった仕事を遅延なく済ませたり、部下に出張や異動を命じたりすることはビジネスにおいては当然の行為であり、特別な出来事ではありません。

というのも仕事をする上で、納期や命令は絶対に守らねばならないものだからです。

ビジネスシーンでは仮にマストという言い方はしなくとも、マストに相当するやり取りや考え方はごく自然になされているということですね。

やらなければいけないことを明確にする際に使う

マストはタスクの設定や部下への命令など、やらなければならないことを明確にする際に有用。

マストであることを伝えれば、強制力が生じてやらなければならないことが明確になるからです。

カタカナ語のマストが英語表現と異なる点として、例えば「納期は27日。これはマストだ」のように、指示代名詞的に使われることが挙げられます。

マストだけでは意味をなさず、マストの内容が説明されて初めて成立する言葉なのです。

いわば「タスク」のようなもので、マストの内容が不明瞭なままだと運用できないということですね。日本ならでは、カタカナ語ならではの特徴として注意しましょう。

英語「must」の「~しなければならない」に由来

マストは英語“must”の「~しなければならない」という意味に由来するカタカナ語です。

英語表現における“must”は“I must do something”のように、助動詞の働きをします。

一方、日本語表現としてのマストは助動詞ではなく、先述の通り指示代名詞の役割です。

「~しなければならない」という強制力のニュアンスは共通であるものの、英語の“must”とカタカナ語のマストを同じ感覚で使うことはできません。

文法上のポイントとして是非覚えておきましょう。

マストは船の帆柱の意味もあり

マストには「船の帆柱」という意味もあります。カタカナ表記すれば同じですが、英語表記だと“mast”であり、強制力を表す“must”とは全くの別物です。

マストに限らず、カタカナ語には同音異義語が沢山ありますよね。

紛らわしい時には英語など元の言語に遡って調べてみると、意外と簡単に判別できる場合が多いものです。

マストアイテムってどんなもの?意味を解説

近年、マストは日常用語としても頻繁に使われるようになってきました。

代表格が「マストアイテム」「マストバイ」といったフレーズです。

先述の強制力に倣って「買わなければならない」という意味だと、ちょっと語感が強いですよね。日常用語のマストとは、果たしてどのような意味なのでしょうか。

トイレットペーパーなどの生活必需品

日常用語としてのマストは「必需品」もしくは「必要なもの」という意味です。

例えばトイレットペーパーや歯ブラシ、歯磨き粉などは生活に必要ですよね。必要不可欠なアイテム、すなわち「必要な物資」をマストアイテムと呼んでいるわけです。

流行や季節のファッションアイテム

流行や季節にピッタリ適合したファッションアイテムを説明する際、マストを使って表現する用例もあります。

ファッション誌を開いてみると、「今シーズンのマストアイテム」や「識者が選ぶマストバイ」といった言い回しが目に飛び込んでくるでしょう。

マストはファッションアイテムとも親和性が高いのです。

例えば映画鑑賞において「必見」、音楽鑑賞においても「必聴」という表現がありますよね。

表面的に「必ず・絶対」という言葉を使っていても、実際には強制もしくは強要をしているわけではありません。

強制や強要ではないにせよ、マストアイテムやマストバイとは「今のうちに手に入れなければ後悔する」「買わなきゃ損」といったニュアンスを含んでいるのです。

事実、ファッションアイテムはシーズンごとに限定生産される場合が多く、チャンスを逃すと本当に二度と入手できなくなる品物も。

簡単にいうと、マストアイテムやマストバイという場合は「強要したくなるほどにオススメですよ!」とアピールしているわけですね。

ビジネスシーンのような強制感はない

先の節でも説明した通り、日常用語としてのマストにはビジネスシーンのような強制感はありません。

強制感がないとすると、何のためにマストという表現をするのでしょうか。

単なるオススメや高評価とは区別して、「もはや必須・必需品のレベルだ」というニュアンスを表すためです。

既出ながら、わかりやすい例なのでもう一度繰り返しますと、映画や音楽を鑑賞・評論する際には「必見」や「必聴」という言い回しがつきものですよね。

強制ではないのに「必」という漢字が付いている理由は、必須レベルの価値があることを表しているからです。

必見や必聴における「必」の本質はマストと同様、強制ではなくとも必須レベルであることを強調しているというわけですね。

マストの正しい使い方を5つの例文でチェック

ここまでに説明してきた意味や用法を踏まえ、マストの正しい使い方を文章でチェックしてみましょう。

例文

残業は行わず、ノルマは所定労働時間内に達成する。我が部署におけるマストのルールだ。

例文

出張終了後、所属長に出張報告書を提出することが義務付けられている。2営業日以内の期限がマストだ。

例文

鼻炎持ちのため、私にとってティッシュペーパーはマストアイテムだ。

例文

部下に指示を出す際には、内容を簡潔にまとめ、最後に「以上が君のマストだ」と伝えるとわかりやすい。

マストの類語とは?マストではないことを上手に伝える表現方法

マストには強制力や、必須のものという性質があります。

強めの言葉を使いたいけれども、敢えてマストと発言する必要はない場面に相応しい表現を考えてみましょう。

希望を伝える「ウォンツ・ウォント」マストより義務感がグッと弱め

人に対して希望を伝える際に適した言い回しが「ウォンツ」や「ウォント」です。どちらも英単語“want”に由来します。

ウォンツとは英語“wants”のカタカナ語です。“want”の名詞形、かつ複数形なので、「欲しいもの」や「希望事項」といった意味です。

ウォントはマストに近い用法が特徴で、義務や強制ではなく、相手に自分の希望を伝える場合に使う言葉。ビジネスシーンを例に挙げると、「必須の命令ではないけれども、できれば頼みたい案件」という場面で用いられることの多い表現ですね。

お勧めを伝える「ベター」マストのような強制力はない

「~する方がよい」というニュアンスを伝えるのに役立つのが、「ベター」というカタカナ語です。

マストというと、強制力が働きますよね。命令調で使う場面でなくとも、必須であることをプッシュする表現です。

一方ベターの場合、絶対に何かをするべきだと強く推すのではなく、あくまでお勧めを伝えることに重きが置かれます。

さりげなく進行をリードしたり、アドバイスを伝えたりするような場面ではベターを使うのがよいかもしれません。

「ニード」はマストとウォントの中間くらいのニュアンス

「ニード」の位置づけはユニークで、ニュアンスを相対化するとマストとウォントの中間くらいに当たります。

ニードのニュアンスを説明すると、必要だけれども「絶対に必要」というほどまでに強い語感ではないのです。一方で希望の度合いはウォントよりも強く、ただ単に欲しいというレベルではなく、「必要だ」という域に達していることを表します。

マスト、ニード、ウォントの違いがわかりにくいという場合は、希望の強さやニュアンスの度合いを図に表してみるとよいでしょう。

マストの反対語フリーやオプションの意味

マストの反対語としては、「フリー」や「オプション」が挙げられます。

フリー(free)とは自由のことです。自由は義務や束縛、強制力などと正反対に位置する言葉であることがわかりますよね。

オプション(option)は必須の反対語です。絶対に必要なものではなく、オマケや補足といった位置づけのものを指します。

マストは若者言葉?ビジネスで使用する際の注意点

マストは必ずしも若者言葉であるとは言い切れません。

日常用語としてのマストはともかく、義務や命令といった強制力を示す意味で、マストはビジネスシーンにも相当に浸透しています。

とはいっても、一般的にカタカナ語の乱用は推奨できません。特に目上の相手と話す時や、会議や商談などの公式な場面でマストを使うのは控えるべきです。

TPOを意識し、あくまで会話を円滑に進めるのに役立つ場面でマストを活用するようにしていけばよいでしょう。

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