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「お休みさせていただきます」は誤った敬語表現?正しい敬語、休みの言い訳まで紹介!

ビジネスシーンにおいて、休暇を取る旨を周りの人に伝える際にはどのように発言すべきでしょうか。いくつかの言い回しがありますが、中でもポピュラーなのが「お休みさせていただきます」というフレーズ。

実のところ、「お休みさせていただきます」は敬語表現として相応しくありません。一見問題なさそうに思われる言い回しですが、果たしてどこが不適切なのでしょうか。

「お休みさせていただきます」における問題点の他、代わりに使える言い回しなども併せて紹介します。

「お休みさせていただきます」に敬語表現として文法的違和感を持つ2つの理由

「お休みさせていただきます」には、敬語表現上NGである理由が2つあります。

NGである2つの理由を解説するとともに、敬語表現「お休みさせていただきます」に対する公的機関の見解も併せて紹介しましょう。

理由1:自分が休むのに「お休み」という表現は不適切

「お休みさせていただきます」が不適切な理由の1つとして、自分自身に対して「お休み」という尊敬の敬語表現を行っている点が挙げられます。

少し言い方を変えて、「お休みになる」と発言してみたらよりわかりやすいでしょう。「お休みになる」は自分自身ではなく、上司や先輩など目上の対象に使う表現ですよね。「お休み」には尊敬の意が含まれます。

「お休みになる」というフレーズに使われている「お休み」と「お休みさせていただきます」の「お休み」は同じで、どちらも尊敬表現というわけです。

以上を踏まえると、自分が休む場合であるにもかかわらず、「お休み」と表現するのは不適切だとおわかりでしょう。

理由2:「~させていただく」という表現は自分の強い意志が反映

「お休みさせていただきます」という表現が不適切な理由は、もう一つあります。

「~させていただく」は主として、相手から許可や承認を得ていたり、あるいは要請や依頼を受けたりという流れがあって生まれる表現。

仮に許可や依頼などがない状況で「~させていただく」と発言する場合は自分の強い意志を表すことになり、相手の意向をないがしろにするニュアンスが生じます。

丁寧に振る舞おうとするつもりが、かえって相手の反感を買ってしまう場合もあるのです。

ビジネスシーンにおいて「~させていただく」は、頻繁に使われる謙譲表現の代表格ですよね。

常用するあまり、本来言うべきでない場面においてまで「~させていただく」と発言してしまわぬよう、注意が必要です。

国語分科会の「敬語の指針」による「お休みさせていただきます」の解釈

2005年年3月、文部科学大臣から文化審議会に対し「敬語に関する具体的な指針の作成について」が諮問されました。

文化審議会は内部機関として、国語分科会を発足。約2年間の検討を経て、国語分科会は2007年2月に「敬語の指針」をまとめました。

「敬語の指針」では、休暇取得に関する敬語表現の検討対象として「店の休業を張り紙などで告知するとき」の表現を挙げています。

休業告知の例文は「本日,休業させていただきます。」というものです。

「本日,休業させていただきます。」という文言に対して、国語分科会は「特に許可を受けて行う条件がないのであれば、『休業いたします。』の方がよい」という見解を示しました。

国語分科会による見解の要諦を言い換えれば、不必要な謙譲表現はするべきではないということです。

国語分科会の見解を踏まえて休暇取得の表現を考えると、「お休みさせていただきます」よりも「お休みいたします」の方が適切だということですね。

心理的に「お休みさせていただきます」がしっくりくる感じがするのはなぜ?

「お休みさせていただきます」は本来誤った敬語表現であるにもかかわらず、ポピュラーに使われていますよね。

いわゆるバイト敬語のような若者言葉としてではなく、ビジネスシーンにおいてよく聞かれるフレーズという位置づけです。

「お休みさせていただきます」と聞いた時、心理的にしっくりくる要素もあります。正誤の判別が難しい要素が含まれており、なおかつ表層上はきれいな表現なので看破しづらいのです。

正誤の判別が難しい要素とはどのようなものか、具体的にチェックしていきましょう。

上司が休みを指示する前提で「お休みさせていただきます」を使用

先述の通り上司が休みを指示、もしくは承認したのであれば、謙譲表現は適切です。自分が休暇を「もらう」立場になるからですね。

休みをもらう側の立場からすると、謙譲表現をする必要があるという理由で「~させていただきます」という点に注意が向いてしまいがち。結果として、「お休み」の部分に誤りがあることを見落としてしまうというわけです。

上司も休みを認めることが前提にあるので「お休みさせていただきます」に違和感がない

一方、休みを認める上司の側はどうでしょうか。

結論からいえば、部下が「お休みさせていただきます」と発言したとしても、咎めることは少ないものです。ポイントは次の2点。

  1. 自分の許可に基づき、部下が休みを取る意志を連絡してきた
  2. 連絡の際、謙譲表現で発言した

以上2点をクリアしていれば、上司としても特にうるさく言わないでしょう。

そもそも上司である人物も、さらに上層の相手に対して「お休みさせていただきます」という、誤った敬語表現を使っている可能性も少なくありません。

仮に上司の側の認識が誤っているとすれば、部下の間違いを指摘できないものです。

結果として、当該の職場には「敬語表現の誤用」という悪循環が続いていく可能性があるでしょう。

上司や先生に「お休みさせていただきます」を伝えたいときの適切な敬語表現

上司や先生に対し、「お休みさせていただきます」と発言するのは不適切であることがおわかりいただけたはず。

「お休みさせていただきます」の代わりとして、場面に相応しい言い方を考えてみましょう。

休みの美化形「お休みします」

休みを美化した語句、「お休み」という丁寧語を使う方法があります。上司や先生に対して「お休みします」と発言することは許容されています。

ただし自分自身に対して用いる、誤った尊敬表現としての「お休み」と区別しづらいという難点があるため、混乱を避けるためにも「お休みします」という表現は積極的に使わない方がよいでしょう。

「お休みします」は、表現方法としてあくまで「許容されている」程度のレベルだということですね。

自分がへりくだる形「休ませていただきます」

上司や先生に対し、「休ませていただきます」というのは適切な伝え方の1つです。

自分自身がへりくだる謙譲表現のみで、誤解を招く不要な尊敬表現もなく、シンプルな言い方として好印象でしょう。

ごく稀に「休まさせていただきます」という誤りの表現を見かけることがありますが、動詞「休む」の活用に誤りがあります。

「~させていただく」という謙譲表現を乱用している人が陥りやすい間違いですね。

休みをもらうという意味合い「休みをいただきます」

休みをもらう、転じて休みを頂戴するという意味合いで「休みをいただきます」と表現するのも有効です。

休みを動詞でなく、名詞と位置づければ誰に対してもニュートラルに扱えるため、敬語や活用を気にする必要がありません。一単語で済ませられます。

「休み」を会社や学校からもらう、という考え方で謙譲表現すれば、自ずと「休みをいただきます」という言い方を導けるでしょう。

休む旨を伝える時はお詫びの意味を込めたフレーズを添える

いざ実際に休むとなると、ただ休みの事実や情報を伝えるだけでは乱暴な印象を与えるもの。

やはり労働力人員に穴が開き、授業やクラス活動などのメンバーが欠けることをお詫びするべきです。

謝り過ぎても相手に気を遣わせるため、さじ加減が肝心。上手な言い回しを考えてみましょう。

罪悪感や迷惑をかけることをコミュニケーションを通じて

特に決まり文句を用意しなくとも、日常的な会話のやり取りを通じてお詫びの意を伝えることは可能です。

自分がいない分、作業や仕事の負担はどうしても同僚や同級生にしわ寄せされます。

周囲に対する影響を認識しており、迷惑をかけていることや罪悪感を感じている旨を伝えればOKでしょう。

誰もが休みを取る権利を持っています。休みとしわ寄せはギブ&テイクで回すものなので、謝るだけでなく感謝の意も表すとよいでしょう。

「申し訳ありませんが」や「残念ですが」のお詫びの言葉がベスト

「休ませていただきます」もしくは「休みをいただきます」とセットで使うお詫びの言葉には、「申し訳ありませんが」もしくは「残念ですが」を選ぶとよいでしょう。

運用例としては次のようになります。

  • 申し訳ありませんが、明日休ませていただきます
  • 残念ですが、明日は休みをいただきます

お詫びはするべきですが、悪事を働いたわけではないので謝り過ぎないように配慮しましょう。

「すみません」は俗な話し言葉なので控える

一般的なマナーとして、お詫びの言葉に「すみません」を選ぶのは避けましょう。「すみません」は話し言葉であり、口語表現のフレーズです。

謝り過ぎてはいけませんが、かといって「すみません」で済ませると軽薄な印象を与えてしまいます。やはり言い方のさじ加減には注意が必要といえるでしょう。

シチュエーション別「お休みさせていただきます」の使い方を解説

休みを取る場合の言い方は、所属する組織や伝える相手によって変わります。

複数のシチュエーションを想定し、失礼にならないよう、かつ謝り過ぎにならないような言い回しを考えてみましょう。

学校や部活を休む場合

学校や部活を休む場合は、担当の先生に伝えるのが一般的です。独断ではなく、保護者と相談した上で連絡する方がよいでしょう。

特に小学生など、自分で電話するのが難しい場合は保護者に窓口をお願いするのが妥当です。

ちなみに学校や部活の場合は、ビジネスシーンのように許可・申請の手続きが厳しいわけではないので、謙譲表現にこだわる必要は特にありません。

例文

・風邪を引いたため、今日の授業は欠席させてください。
・体調が悪いので、部活を休ませてください。

仕事やバイトを休む場合

会社を欠勤したり、アルバイトを休んだりする場合は責任者に伝えるべき。直属の上司や、店長などが該当します。

当日やむを得ず休む場合は電話連絡すべきですが、予め休む日を伝える場合は所定の手続きに沿って申請し、許可を得る必要があるでしょう。

例文

・熱があるため、申し訳ありませんが今日は休ませていただいてもよろしいでしょうか?
・4月30日に休みをいただきたく、書面の通り申請いたします

社外や取引先に休みを伝える場合

ビジネスシーンで最も注意すべきなのが、社外や取引先に向けて休みを伝える場合。いわゆる告知・アナウンスを行う形になるため、一個人ではなく会社を代表した文言を用意する必要があります。

個人の場合と異なるもう一つの特徴として、許可・申請は不要だということ。前もって休業の告知をすることが根回しに相当し、ひいては顧客や取引先に対する配慮になるのです。

例文

平素はA商事をご愛顧賜り、厚く御礼申し上げます。新型コロナウイルス感染拡大を受け、まことに勝手ながら下記期間の営業を停止する運びとなりました。

(期間)
2020年5月1日~6日

皆様方にはご不便とご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解とご協力のほどお願い申し上げます。

家族や同僚の休みを代わりに伝える場合

休みを取る本人が病床から動けなかったり、入院していたりという場合は、家族や同僚が代わりに伝えることになります。

例文


橋本直樹の妻でございます、いつもお世話になっております。夫が昨晩から緊急入院しており、しばらく出勤できない状態です。退院までおおよそ2週間の見込みでございます。大変恐縮ですが、復帰の目途がつくまでしばらく休みをいただきたく、何卒ご了承のほどお願いいたします。

世間一般で通じる?休みの言い訳を考えてみた!

今度は休みを取る時の「言い訳」を挙げていきます。敬語表現の是非に関する話題とは打って変わって、かなりカジュアルなテーマです。ざっくばらんに考えましょう。

もっともらしく最も疑わしい理由「体調不良」

暗黙の了解として、何の理由なく休むことはマナー違反です。裏を返すと妥当性の高い理由があれば、休みを取っても構わないともいえるでしょう。

休みの言い訳として「体調不良」は定番の理由。もし本当に部下の体調が悪いとして、部下が通勤途中や社内で倒れてしまっては目も当てられない結果になります。

上司の立場で健康上のリスクを考えると、やはり体調不良を訴えている部下に出勤を命じることはできません。

仮に部下の体調不良が嘘だったとして、無理に出勤させると強要やパワハラのかどで訴えられてしまう可能性もあるでしょう。もっともらしく最も疑わしい、部下にとって最強の言い訳が「体調不良」なのです。

本来、言い訳の効果を力説すべきではありませんが、行動や判断の選択肢を増やすという意味でも身に付けおくとよいかもしれません。

多用は禁物「身内の不幸」

言い訳の理由として非常に効果が高いのが、「身内の不幸」。ドライな職場環境であれば、結婚などのおめでたいものについてはシビアな反応をされる場合もしばしばでしょう。仕事にプライベートを持ち込むべからず、という意見も一理あります。

一方、危篤や葬儀などといった身内の不幸に関しては比較的寛容なもの。特別休暇を付与する会社もあるでしょう。

だからといって、身内の不幸を言い訳の理由に使うのは考えもの。社会的なモラルはもちろん、会社から「身内の不幸」に関する裏付けを取られる可能性があるからです。

社員の身内に不幸があった場合、会社によっては香典や弔電といった対応を図るため、通夜や葬儀の日時・場所などを確認することがあります。

確認の行程で、申告の内容に嘘があると発覚してしまう可能性が高いのです。

身内の不幸を休みの言い訳に使うのは、高いリスクを伴う行為であることを覚えておきましょう。

もっともらしい理由がないと辛いかも「家庭の事情」

言い訳の理由として「家庭の事情」というものも挙げられますが、積極的に使うことはおすすめできません。

プライバシーが重視されるとはいえ、具体性の乏しい理由は信憑性がありませんし、「家庭の事情とは何だ」と追及される可能性もあります。

本当に家庭の事情による休みだったとしても、プライベートな内情を自ら明るみに出したいでしょうか。

追及する上司としても内情を聞きたいからではなく、休みの理由として妥当かどうかを把握したいだけ、という場合もあるでしょう。

休みの理由については、追及する側も追及される側も気分の良いものではありません。

不要なストレスを回避するためにも「家庭の事情」という言い方は避け、やむなく事情を明かすのであれば具体性があり、追及されることのない言い回しを考えるべきでしょう。

ビジネスで使える「お休みさせていただきます」の外国語講座

最後に、外国語で相手に休みを取得する旨を伝える表現を考えて締めくくりましょう。英語と中国語の例を紹介します。

「お休みさせていただきます」の英語表現

英語で「お休みさせていただきます」を表現すると、次の通りです。

例文

・“I will take the day off work today”
(今日は仕事を休みます)

・“I would like to take the day off work today”
(今日は仕事を休みたいと思います)

「お休みさせていただきます」の中国語表現

「お休みさせていただきます」を中国語で表現した場合は下記のようになります。

例文

「我今天休息」
(今日は休ませていただきます)

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