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「されたし」の意味と使い方を解説!実は失礼な表現ではない?「されたい」との違いは?

相手に対する要請・呼びかけのフレーズに「されたし」というものがあります。ある程度日本語表現に慣れた人なら、日本語らしい独特の言い回しに魅力を感じるのでは。

一方バイト言葉などを中心に使っている人にとってみれば、「されたし」は訳の分からない言い回しの代表格でしょう。敬語なのか受身形なのかわかりづらい上、そもそも遠回しにする意味もわからないかもしれません。

当記事では「されたし」の意味用法、表現上の特徴や注意点などをまとめて解説します。焦らず順を追って見ていきましょう。

「されたし」の意味とは?

「されたし」とは要請・呼びかけの言葉だと述べました。具体的にどのような意味なのか、敬語なのかどうかなども併せて紹介します。

「~してほしい」「~してもらいたい」という要望

「されたし」とは「~してほしい」、もしくは「~してもらいたい」といった要望を伝えるフレーズ。

軍事作戦を描いた映画を好む方なら、作中で「応答されたし」や「出頭されたし」といった通信メッセージを見聞きしたことがあるでしょう。

ちなみに、例として軍事作戦を取り上げたのも偶然ではありません。

というのも「されたし」の使いどころはやや硬い場面が中心であり、表現としても丁寧ではあるものの、本質的にはトップダウンのニュアンスが含まれるからです。詳しくは後述します。

「されたし」の敬語の種類

「されたし」は敬語分類上、尊敬表現に位置づけられます。

「される」は一般動詞「する」の敬語表現で、非常に丁寧な語句です。「されたし」が硬い表現だとみなされる理由は、後半部の「たし」にあります。

「たし」は要望・願望を表すj動詞であり、古語に由来するのが特徴。普段聞き慣れないこともあり、古めかしく高圧的な印象を受けるのかもしれません。

古語「されたし」とは?

現代のようにフレーズ単位で「されたし」という言葉が使われるようになった端緒や、背景については明らかになっていません。

一方「たし」は相手の了解や留意を得たいという希望の意味として、平安末期から使われ始めたといわれています。

以上を踏まえると「されたし」は、「たし」に引っ張られる形で古語由来の言葉とみなされているもの、と考えられるでしょう。

「されたし」は失礼な表現?

「されたし」を単語レベルで分解していくと、本来失礼な要素は含まれていないことにお気づきでしょう。

一方で、言葉の響きとして「されたし」にはトップダウンのニュアンスがあり、実質的に命令調のフレーズとみなされているのも確かです。

例えば目上の相手に対して「されたし」と発言することは、多くの方が直感的にNGであると悟っているはず。

現実問題として「されたし」を使う対象は、自分から見て同格以下の相手に限定する方がよいでしょう。

「されたし」の使い方をチェック

「されたし」の意味、性質についてはご理解いただけましたね。次は「されたし」の使い方を確認してみましょう。

「されたし」の基本的な使い方

「されたし」を使う機会は、基本的に上の立場から下の立場に向けて、もしくは同格の立場に向けて要請を行う場面です。

指示や申請ではなく「要請」であるというのがポイントで、ニュアンスとしては「~してもらいたい」「~してほしい」「~を求む」といったフレーズと概ね同義といえるでしょう。

返事・返信を促す時に「されたし」を使う

やり取りの中で相手に用件を投げかけ、メールや電話による返事・返信を促すには「返事されたし」「返信されたし」といった言い回しが有効です。

返事・返信という語句を直接出すと相手を焦らせてしまうかも、と配慮する場合は「確認されたし」「検討されたし」などの言い方に変えるとよいでしょう。

なぜなら確認や検討の結果は、返事や返答によってリターンされると予想できるからですね。

失礼にならない「されたし」の使い方は?

先述の通り、目上の相手に対しては「されたし」と発言するべきではありません。横柄な態度だとみなされるおそれがあるからです。

目上の相手に何かをしてもらいたい時は「されますよう」もしくは「していただきますよう」などの言い回しに変える方がよいでしょう。

最後に「お願いいたします」など、丁寧なお願いの一言を付け加えれば万全です。

ビジネスで役立つ、「されたし」と組み合わせたフレーズ

ビジネスにおいて上下関係はつきもの。特に部下を管理し指導する立場の人にとっては、指示を出したり資料をチェックをしたりといった場面で「されたし」を使う機会もあるでしょう。

「されたし」と組み合わせて使われるフレーズのうち、代表的なものを4つ紹介します。

至急されたし

「至急されたし」とはただ単に「されたし」というだけでなく、急を要する旨を伝える時に使うフレーズです。

「至急返信されたし」のように文章の形で「至急~されたし」という言い回しもありますが、「至急されたし」の場合は「整理整頓、至急されたし」のようにほぼ単語レベルで簡潔に趣旨を伝えられるのが特徴です。

(例文)
数字以外の経緯、プロセスも重要。営業報告、至急されたし。

参考にされたし

相手にとって参考になるであろう情報を提供する際、「参考にされたし」と声がけする用例があります。

「参考になさってください」などというよりも丁寧の度合いは低いものの、用件を手短に伝えられるでしょう。

(例文)
本件の類似例あり。2019年6月の株主総会議事録を参考にされたし。

連絡されたし

「連絡されたし」とは「連絡してきてほしい」という要請です。

一見すると尊大な言い回しに思われますが、「任意のタイミングで連絡するように」という、相手の都合を慮ったメッセージでもあります。

(例文)
得意先A社より、納期に関する問い合わせあり。A社まで急ぎ連絡されたし。

改善されたし

「改善されたし」の意味は文字通り、改善の要請。主に品質管理や会計監査など、チェックに携わった担当者が「要改善」と判断した場合に発せられるフレーズです。

「要改善」というよりも「改善されたし」の方が幾分優しいトーンであり、指摘を受ける側としてもショックや抵抗は少ないでしょう。

(例文)
月間チェック結果、備品・消耗品の補充漏れ数件。特にトイレ消耗品の不備はお客様に影響するため、クレームを招く可能性大。改善されたし。

「されたし」の類語や言い換え表現を紹介!

「されたし」の語感や響きには特性があり、使いどころを選ぶ必要がありますよね。

言い回しの選択肢を広げるためにも、「されたし」の言い換え表現を身につけましょう。

されたい

「されたし」の類語の中でも、特に近いフレーズが「されたい」です。どちらも大きな括りでは同義ですが、「されたい」には「~たい」「~したい」という語句が含まれていますよね。

補助動詞「~たい」「~したい」には、主体の希望が反映されるもの。

相手の意志をある程度尊重する「されたし」と比べて、「されたい」という方が自分の要請・要望を強く伝えるニュアンスがあります。

留意

「留意」とは「気に留める」という意味。心配や注意に似ていますが、心配や注意と比べてネガティブな要素が若干薄れるため、「されたし」と似た使い方が可能です。

推奨

「推奨」とは、いわゆる「おすすめ」のことです。

何らかの判断が必要な局面において、自分の力では結論を出せないことはしばしばあるもの。

仮にAとBの選択肢を判断する場面を想定すれば、「Aにされたし」と「Aを推奨」という言い回しは同義ですよね。

「されたし」と同様、「推奨」には相手の意志を尊重し、最終的な判断については相手に委ねるニュアンスが含まれます。

まとめ

既にお気づきの通り、「されたし」は命令調のフレーズだと思われがちですが、実は相手の意志を尊重する側面もあるのです。

「されたし」の意味用法だけでなく、性質まで理解している相手に対しては積極的に使ってよいでしょう。

ただしコミュニケーションは相手の存在があって成立するもの。「されたし」が持つ、命令調の響きを嫌う人もいるでしょう。

「されたし」を使う際には相手の人物、自分との距離感などを見極めることが肝心ですね。

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