「メンター」ってどんな意味?役割やメンター制度についても徹底解説!

企業内でメンターやメンター制度という言葉を聞くことが多くなってきました。

一般的にいって、メンターという部門や役職はありません。メンターとは役職ではなく、役割なのです。

「メンター」ってどんな意味?役割やメンター制度についても徹底解説!

企業が積極的にメンターを活用しているのは、効果があると判断しているからこそ。

メンターとは果たしてどんな意味で、どのような効果があるのでしょうか。

この記事の内容

メンターの意味とは?

メンターの意味とは?

まず最初に、メンターの意味を確認するところから始めましょう。

併せて語源についても見ていきます。

メンターの意味は「指導者」や「助言者」のこと

一般的に、実務上の指導や教育は組織上の管理職が担当しますよね。

一方で実務以外の面倒を見るとなると、なかなか難しい面があるでしょう。

年代が離れすぎていたり、時間外や業務外の状況まで上司と部下の関係を維持したりするのもストレスフルになりがち。そこでメンターの存在が役に立つというわけです。

メンターとは「指導者」や「助言者」という意味。

メンターは直接実務や技術の指導をするというよりも、会社環境や組織の中での振る舞いについてのアドバイス、あるいは人間関係に関する相談相手になるといった間接的な支援を行うのが主な役割です。

ビジネスにおけるメンターは企業の先輩社員や考課者が該当

ビジネスにおけるメンターは、主として先輩社員や考課者が担当します。

必ずしも同じ部門や部署の人員である必要はありませんが、メンター面談の際に実務上のアドバイスも併せて行いたい、という場合は考課者が担当してもよいでしょう。

メンターの語源はギリシャ時代?英語「mentor」の意味

メンターの語源はユニークで、ギリシャ神話の登場人物に由来します。

ギリシャの詩人ホメロスによる叙事詩「オデュッセウス」は、ギリシャ神話の英雄オデュッセウスの活躍を描いたもの。

オデュッセウスの数々の活躍を支えたのが、良き助言者であり理解者である賢人メントールでした。

もうおわかりでしょう。メンターとはオデュッセウスの支援者として活躍した、賢人メントールの名と行動に由来するのです。

メンターになるには資格いらず?役割やスキルについて解説

メンターになるには資格いらず?役割やスキルについて解説

メンターの概要と由来を把握できたところで、より詳しい内容に踏み込んでみましょう。

メンターとは役職ではなく、役割だと述べました。どのような役割なのかを解説します。

企業に導入されているメンター制度

メンターの運用を、組織運営上の正式な制度として導入している企業も多く見られます。

企業や組織とは、突き詰めれば人間の集団。特に経験の浅い新入社員にとっては環境に馴染むだけでも苦労するでしょう。

業務上の技術的な支援ではなく、人間関係や精神的な悩み・負担を和らげるサポートを行うのがメンターの役割なのです。

メンターの機能は福利厚生の一環とみなせるため、内容としては人事部門の仕事であるという見方も可能でしょう。

進退問題に直結し、人事異動に関わるような問題であれば当然人事部門が関与するべきですよね。

メンターはもう少しざっくばらんな位置づけで、進退問題に発展する前の、日々の悩みや問題の予兆をうまく察知し、和らげる役割を担うということです。

実務経験だけじゃない?メンターに必要なこと

メンターは役職ではなく、人事権があるわけでもありません。指導のための権限を与えられるわけではありませんし、立場の根拠といえるのはメンター制度くらいでしょう。

一方でメンターには若手社員などの経験の少ないスタッフを手引きし、組織の円滑な運営に貢献するという、漠然とした使命や責任に基づいて行動することが求められます。

メンターに必要なのは業務上の資格や能力ではなく、コミュニケーション力や指導力といった資質・適性です。

忘れてはいけないのが、メンターとは社会人としてのモラルや人間性が問われる役割だということ。最終的にものをいうのは「人間力」だということですね。

メンター制度のメリットはメンター側にもあり

企業にとってメンター制度が有意義であることは、既におわかりいただけたでしょう。

一方、メンターの側にもメリットはあります。メンターとして選抜された従業員は後輩の面倒をみて心のケアをするという、マネジメントに必須の経験を積むことができます。

また従業員を代表して、後輩社員に組織の中での立ち回りを教えることは、先輩社員としての責任感につながるでしょう。

もちろん、マネジメントの場合は部下・後輩の立場だけでなく、会社の利害関係を計算して総合的な指導を行うという高度な立ち回りが要求されます。

メンターとマネジメントを同列で語ることはできませんが、将来管理職ともなれば部下を抱えて指導・育成していく立場になります。

「マネジメントの前段階の経験」という位置づけで、メンターの経験を積んでおくのは非常に価値のあることといえるでしょう。

エルダー制度との違いとは?

役職ではなく役割という意味で、メンター制度とよく似たものとして「エルダー制度」があります。

メンターは精神面のサポートを行うのが主な役割。一方エルダーは、主に実務面のサポートを行う役割です。エルダー(elder)とは英語“old”の比較級で、「年長者・年上の」という意味。

組織や業務上の関係に当てはめれば「先達・先輩」という意味ですね。

以上を踏まえエルダー制度とは、実務経験豊富な先輩社員が責任を持って後輩社員の面倒をみる体制・仕組みのことをいいます。

「先輩が後輩の面倒を見る」という事象は当たり前のことのように思われるかもしれませんが、現実問題としてブラック企業のように、倫理的で正常な人間関係が成立していない組織は存在します。

企業がエルダー制度というルールを定め、公明正大に人材育成を行う体制を整備するのは健全な動きといってよいでしょう。

エルダー制度によって人材育成の環境が整備され、離職率を低く抑えられるのであれば導入の価値は十分あるはずです。

メンターの対義語メンティーの意味をチェック

メンターの対義語とは、メンターからの指導を受ける側に当たりますよね。メンターから指導を受ける人を「メンティー」といいます。

ちなみに、メンターとメンティーの関係は「メンタリング」です。メンターだけでなく、関連語も併せて覚えておきましょう。

メンターの関連語や類義語をチェック

メンターの関連語や類義語をチェック

メンターの関連語は他にもあります。

類義語と併せてチェックしておきましょう。

チューター

「チューター」とは1対1で指導を行う役割のこと。初心者向けの指導・研修をチュートリアルといいますよね。

チューターとは、「チュートリアルを実施するもの」という意味です。

コーチ

スポーツで選手一人ひとりに実技指導を行う役割といえば、何といっても「コーチ」が代表格でしょう。

監督がチーム全体の指揮・統率を行うのに対し、コーチは実技指導に重きを置きます。

英語“coach”には「監督」という意味も含まれますが、日本語圏ではコーチと監督を区別するのが一般的です。

スーパーバイザー

スーパーバイザー」とは統括者・エリア長などの意味を持つ役職です。

具体的な管轄内容は組織によって異なりますが、主として複数の店舗や事業所を統括する立場で、各店舗や事業所の責任者たちの上席者に位置づけられます。

スーパーバイザーは一般的な部長や課長といった管理職よりも、現場の最前線を統括するという意味合いの強い言葉といえるでしょう。

メンタリング

「メンタリング」とはメンターとメンティーの関係をいいます。

業務上の指揮系統でなく直接的な利害関係が介在しないため、対話によって信頼関係を築いていくのがポイントです。

企業などの組織として、正式にメンタリングを運用する体制を「メンター制度」といいます。

「メンタリング制度」という言い方はしない点に注意しましょう。

メンタリングチェーン

メンタリングを経験したメンティーが、次世代のメンターとなって新しいメンティーにメンタリングを行っていくというサイクル・つながりを「メンタリングチェーン」といいます。

メンティーが成長し、代わって自分がメンターの立場になることで先輩メンターによる教えの意味を再確認できるでしょう。

また後輩社員の手本となることで責任感が生まれ、組織の構成員としてさらに成長できる効果が得られます。

人生のお手本?ビジネス以外でのメンターの持つ意味や探し方

人生のお手本?ビジネス以外でのメンターの持つ意味や探し方

メンターとしてメンティーに接する際、最も大事なのが個人的な主張や意見を押し付けてはいけないということ。

メンティーの意見や考え方を把握し、会社や組織のベクトルを説明して、その上で悩みの種となっている原因を一緒に探っていくというプロセスが大事なのです。

メンター自身が表立って問題解決に当たってしまってはメンティーの主体性を損ないますし、成長にもつながりません。

悩みを自分で解決していくという経験は成長の原動力。メンターの役割とはメンティーの悩みを明確化させ、メンティーが解決への道筋を描くプロセスに協力することなのです。

メンターには単純な知識や技術の手本ではなく、組織および社会人のお手本として相応しい思考・発言・行動が求められます。

先述の通り、メンターとは突き詰めると人間力が問われる役割。特定の企業や組織の中だけで通用する人材を育てるのでなく、社会人として立派な人材を育成する役割もあるのです。

仮にメンター制度が整備されていない会社でも、自主的にメンターを探してメンタリングをお願いすることは可能です。

メンターに相応しい相手とは、いわゆる「ロールモデル」に該当するキーマンのこと。どんな組織にも、お手本とすべき先輩が1人はいるものです。

先輩社員をつかまえて、いきなり「メンタリングをお願いします!」というのは唐突ですよね。

最初からメンタリングとは称さずに、ちょっとした相談に乗ってもらったり、休憩時に話し相手になってもらうような関係性を築くのが自然でしょう。

やがていつの間にか、メンタリングと同じ関係や効果を実現していても不思議ではありません。

メンターとは曖昧なポジションです。役職でもなければ、権限も付与されません。

それでもメンターの存在をポジティブに捉え、活用できるかどうかによって、若手の成長が大きく左右されるのは間違いないでしょう。

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